新人看護職員研修ガイドラインの基礎知識
新人看護師の教育が、今と昔で全く異なっていることはご存知ですか?
昔の看護師の新人教育と言えば、見て覚えなさい、経験して覚えなさい、一回見学したら分かるでしょ、と言うような厳しい教えにより、自律して学習、経験を積み成長したものです。
しかし、現代の新人看護師とは護られたもので、厚生労働省の計画したガイドラインにより大切に教育されるようになってきました。
その背景として、看護職員の絶対的人数の不足と、新人看護師の早期退職や離職率の高まりを抑制するための試みがあります。新人看護師の10人に一人は、入職後1年に何退職している現状に対し、国が待ったをかけた結果となっています。
では、厚生労働省の新人看護職員研修ガイドラインについて知り、効果的な研修参加を目指しましょう。
厚生労働省の新人看護職員研修ガイドラインの概要
制度の確立は、平成22年の4月より始まります。「保健師助産師看護師法」と「看護師等の人材確保の推進に関する法律」の改正により、新人看護職員の研修は「努力義務」になりました。
努力義務とは、「~するように努めなければならない」と言う意味で、違反しても罰則や規制を受けることはありませんが、企業や事業所などに努力を求める内容です。
よって、医療機関や新人看護職員を雇用する事業団体に対して、新人教育や新人研修を行うよう努力しようと言う事です。
看護職員が、看護師や准看護師免許を受けた後にも研修や講習を受けることで、資質や技能を向上させ、よりよい医療提供と、質の高い看護実戦が行えるよう教育支援続けることを推進する内容となっています。
新人看護職員の研修内容
新人看護職員研修は、新人看護職員が基礎教育で学んだことを基とし、臨床における実戦能力を高めることを目的とします。
看護職員は、生涯にわたり自己能力開発を継続し、自己啓発を図る必要があります。新人看護師研修では、看護師教育では実践不可能な、チームの一員として複数患者を受け持ち、多重課題をクリアし、臨床実践能力高めることを目標とします。
専門職として、成長するために必要な自己能力開発への自発的参加が出来る人材となれるよう教育指導を受けることも一つの目的です。
新人看護職員は、患者に安全で安心な療養環境を保証し、必要な医療と看護を受ける為の技術、知識、姿勢を身につけるために研修や学習が必要です。
世代や時代の変化による医療ニーズや、患者・家族の要望に対応できるよう、新人看護職員は、柔軟な対応力を身につけることを求められています。
また、新人看護師の質向上以外にも、早期離職予防やメンタルヘルスの観点から、新人看護師の新人研修を必要とされています。
・実地指導者、教育担当者における実務研修:配属先における実践教育
・新人看護職員合同研修:自施設での新人看護師集合教育
・都道府県集合研修
・医療機関受け入れ研修事業:他施設の新人看護職員を受け入れての医療機関での新人教育
このように、就職先の自施設研修、他施設の新人看護職員研修への参加、都道府県や看護協会の主催する新人看護職員研修などの部外研修の参加により新人看護職員の質向上の為の施策が行われています。
新人看護職員として研修に対する姿勢
まずは、質の高い看護とは何かという追求する姿勢を基に、自分のなりたい看護師像について考えます。また、そのなりたい理想の看護師になるためには、どのような活動や勉強、経験を積むことが必要であるかを模索します。
その結果、新人看護師は、まず看護師としての基礎、実戦能力、医療知識の充足が必要との結論となるでしょう。
そのためには、新人看護師向けの基礎教育に参加し、自己能力開発に努める必要があります。
なりたい看護師像について、「○○分野に特化したい」などと明確な目標があったとしても、基礎を身につけなければ、その分野の追求も困難です。
よって、どの新人看護職員も、土台を充足するための経験や学習を継続する必要があるのです。
研修参加の際には、「させられている」「参加しないといけない」との受け身の姿勢では、効果は上がりません。「○○な看護師になる為に」と、自律して積極的な姿勢で研修参加をするよう心がけましょう。
また、自分の興味ある分野に対しては、積極的に自ら研修参加や経験による実戦力向上へ努めるようにしましょう。