多重課題・時間切迫シュミレーションの乗り切り方
看護師の仕事で求められることとして、複数患者を受け持ち、それぞれに必要な処置や治療、看護ケアを迅速かつ丁寧に、時間内に行う事が求められます。
また、その内容は変則的で、急な指示変更や指示追加にも対応し、その都度方法や形式、時間帯等を変更、追加しながら実践し、自分の勤務帯にしなければいけないことを終わらさなければなりません。
特に日勤帯に急な検査や指示の追加による変更を求められたり、昼夜問わず急変や、急な入院などにも対応しなければなりません。新人看護師も、病棟スタッフの一員としてその役割を遂行するよう求められることがあり、判断力と実戦力、臨機応変な対応を迫られます。
新人看護師は、入職後、集合研修や実践研修によりプリセプターや教育担当者のフォローにより実践していましたが、一人で看護実践しなければいけない時期が来ます。
その時に、自分に与えられた仕事を円滑に、確実に実践できるよう練習する教育が現場では行われています。
多重課題・時間切迫シュミレーション演習の実践方法とその乗り切り方について考えて自分のプラスになる演習に出来るよう取り組みましょう。
多重課題・時間切迫シュミレーション演習の目的
ある課題を基に、優先順位を決定し基本的な看護実戦を行えるようシュミレーションを行う演習です。
複数人の仮定の患者設定があり、一人一人特徴的な疾患や病態、検査や治療、ケアなどを行うよう設定しています。その複数人の患者の一日の過ごし方や必要な医療や看護を起こし、どの時間帯にどのケアを組み込んで、一日滞りなく業務を遂行していくかを考えます。
毎日必要とされる検温や清潔ケア、その日だけ行う業務や医師からの緊急の指示などをどのように割り振るのかを考えていきます。
新人看護師のフォローアップ研修と振り返りを目的に行い、日勤業務の一人立ちの評価として用いられることもあります。
出来なくて当たり前、これを糧に振り返ることが大切
新人看護師は、逼迫した状況と、自分に与えられた仕事をどう行うかと考えて緊張状態にあります。これで良いと言う自信もなく、不安を抱えながら実践していきます。
そして、多重課題や時間切迫シュミレーションの結果、ディスカッションやグループワークを行い、これからの必要な自分の仕事の姿勢や自分に何が出来て、何が足りなかったかを振り返ります。
看護を行うには経験が必要です。失敗と経験を繰り返しながら成長していくものです。ここで言われた指摘や指導をどのように自分の力にしていくかが大切です。
先輩からの指摘の重要性
新人看護師が、この方法が良いと考えて実践した看護が先輩からしたら危なっかしい、もっと別な安楽な方法があるのではないかと感じる先輩看護師もいるでしょう。そこを深く追求する事にこの演習の意味があるでしょう。
独りよがりの看護にならないように、あらゆる方面から患者さんにとって良い看護を考える必要があります。経験を積んだ先輩看護師は、視野広く多くのことを学んでいます。新人看護師のような動きを取って失敗したと言う経験もあるでしょう。その先輩の意見や指摘を聞き、次に活かせることがこの演習の目的でもあります。
ディスカッションで得られる事
看護の方法や実践に正解はありません。
結果は同じでも、方法は一人一人の看護師により異なることがあります。例えば、清拭一つにしても、ある看護師は○○な方法で施行し、患者さんは安楽で身体の清潔を保つことが出来ました。
しかし、別な看護師は、△△の方法で実践して、患者さんは喜びを伝えました。どの方法も患者さんにとって快適な方法で終了したのであれば問題ありません。他者意見を聞いて、自分の気付きとなればこの研修は成功と言えるでしょう。
多重課題・時間切迫シュミレーションが新人看護師に与える心的効果
実践した看護、考えたことを先輩や他の看護師と考えていくことは、看護観を深めることにもつながります。
この人には何が必要で、何をすべきかと一人の事を考えながら、複数人担当するわけですから、受け持つその他の人への心配りも必要となります。
時間がひっ迫して焦った新人看護師は、患者さんの眼を見ること、訴えを聞くことが疎かになりがちです。多重課題による演習で業務遂行のあり方をも学ぶ他に、その時に看護をしている自分の精神面や心理状態に着目して、患者さんへの対応や思いやりある看護を提供するための方法を考えていくこともこの演習で得られることでしょう。