同期との差に悩む新人看護師さんへ
もう病院の仕事の流れに慣れてきましたか?仕事に通うという行為に慣れてきましたか?
仕事の環境に慣れ、日勤業務の流れに慣れることで精いっぱいだったことと思います。そして、先輩に指導を受けながら看護ケアを実践したり、医療行為を行ったりと看護師としての仕事も行なってきたことでしょう。
そして、そんな大変な新人時代についつい気になってしまうのが同期の存在です。
新人看護師技術チェックリストはどの程度進んでいるのか、自分ひとりでできる看護業務はどの程度あるのか、また、時に先輩看護師たちの会話に新人看護師のレベルを話す声を聞くことがあり、「何を言われているのか」とドキドキする事があります。
同期をライバル視しても良いことは何もない
新人看護師は、入職当初、同期に対して良き相談相手、良き理解者と感じていたことでしょう。しかし、仕事を行い、実践を経験していくと、そうもならなくなります。
いつの間にか、ライバル視してしまう自分に気づくことがあります。
どの程度一人で行えるようになっているのか、チェックリストはどの程度埋まっているのか、周囲は自分と比較しているのではないかと感じることがあります。
周囲は何も感じていないし、その新人看護師も何も変わらず接してくれているのに、自分だけ「何か自分は劣っている」「あの子より出来ない」「そこまで一人で行えるようになっている」と同期の新人看護師と自分を勝手に比較して劣等感を科じてしまう事があります。
同期が褒められていたり、多く教えてもらっているところを見ると、「自分より出来ているのだ」「自分よりみんなに好かれている」と若干の被害妄想染みた精神状態に陥ることがあります。
決して周囲はそのようなことはなく、至って変わらない対応をしてくれているのに、勝手に同期と比較し、勝手に落ち込んでしまう「自分」に気付きます。
いつの間にか、同期を見る目が「凄い」「出来る人」「みんなに評価されている人」と自分より勝っている存在になってしまう事があります。
現場では新人同士が比較されている?
新人看護師は、実際現場で新人同士を比較しているのでしょうか?
実はと言うと、先輩看護師も人間です。比較はしないと言えば嘘になります。
しかし、プリセプター研修、看護管理者研修、教育指導者研修において、新人看護師の指導や関わりなどについて十分な指導を受けています。
比較して、劣る方を低評価したり、指導に手を抜いたりするようなことはありません。
むしろ、新人看護師同士の知識や技術に差が出てきた場合、覚えにくい新人看護師の方に力を注ぐ指導を行い、どのようにすれば看護師として成長できるかと指導者たちは思案します。決して出来が悪いからと諦めたりはしません。
そして、出来る方の新人看護師の指導にも力を抜くことはなく、伸びに良い新人看護師の方にはこれまで通りの指導を続けます。
新人同士の比較というよりは、新人看護師の一人として「この新人看護師に伝わりやすい教育方法はどのような方法が良いか」と思案しながら教育を行っていると言うのが教育側の現状です。
「自分は自分、他人は他人」という気持ちが大切
新人看護師が、同期の新人看護師と自分を比較して、「あの子出来るな」と思うと言う事は、自分に自信が無いと言う事が原因でしょう。
先輩が自分より、もう一人の新人看護師を良く評価している、指導を重点的に行っていると感じることは、教育者は「心外」でしょう。
人には個性があります。得意分野があります。自分と他人を比較する事はないのではないでしょうか?
客観的に、看護技術やチェックリストが埋まっていると判断できる新人看護師でも、「実はコミュニケーションが苦手で患者さんからはあまり好かれていない」という場合もありますし、自分は出来ないと感じている新人看護師でも明るさと、その笑顔だけで「患者さんの力に慣れている」という現状があったりします。
技術や知識が充実する事も必要ですが、患者さんからの評価も重要です。技術や知識は、「新人」というだけで多めに見てもらえる事がありますし、経験や回数でカバーできる事があります。
もし、劣等感を感じているのであれば、満つような知識と技術が備わるように努力をしてください。しかし、そこを十分にできていないのであれば、少なくとも患者さんに好かれる新人看護師に慣れるように努力しましょう。
上達や到達度、自己評価や他者評価は、あまり関係ありません。自分は自分のペースで一人前の看護師になればよいのです。なにより、患者さんの事を中心に考えられる思いやりを持った新人看護師であり続けてください。