看護師のスキルアップ資格「臨床研究コーディネーター」
臨床研究は医学の進歩のために欠かせない行為です。日進月歩で進化している医学の世界ですが、病気のメカニズムの中で未解明の部分も多々あります。
その病気の診断や治療の改善、予防の研究をすることでそのコーディネートをするのが、臨床研究コーディネーターです。治験コーディネーターという言葉で紹介されることもあります。
臨床研究コーディネーターは、病気を持っている人と健康な人などの条件の異なる被験者を募集します。そして投薬治療を行って、新薬の効果や副作用の危険性などに関して確認する役割があります。
後で詳しく見ていきますが、臨床研究コーディネーターは国家資格ではありません。いくつか認定先があるため、正確な資格保有者は判明していません。しかし日本SMO協会の認定する資格を持っている人が圧倒的に多いとみられています。
臨床研究コーディネーターの試験の難易度も同様で、どこが主催する試験かによって、条件も変わってきます。自分が臨床研究コーディネーターとして活躍するにあたって、どの資格を取得した方が良いのかを慎重に判断することです。
臨床研究コーディネーターの資格取得方法・条件
臨床研究コーディネーターの資格認定先は、以下の2つに分類できます。
- 日本SMO協会が認定する公認CEC制度に基づき資格取得する。
- 日本臨床病理学会やSMOネットワーク協同組合、SoCRA Japanといったところが認定する資格、看護師や薬剤師などの資格を持っている人が対象の資格。
前者の方が業界の影響力は強いです。しかし、看護師が臨床研究コーディネーターとして活躍する場合には、後者の資格取得を目指すケースも多いです。
受験資格
複数の認定団体があるため、受験資格もバラバラです。自分が受験しようと思っている団体のホームページで確認することです。
ただし、最も強い影響力を持つといわれる日本SMO協会の試験の場合、日本SMO協会の認定する導入教育研修を修了していることがまず必要条件となります。
その上で、2年以上の実務経験を積み、継続教育基準に適合していると判断されれば受験資格が得られます。
試験内容
微妙に各団体で試験内容は異なりますが、どこも基本的には筆記試験によって考査が行われます。ほとんどの認定段階で、受験資格に臨床研究における実務経験を設けています。このため実技試験は行われません。
国でも力を入れている臨床研究
日本は今後ますます高齢化社会が進むと予想されていて、医療サービスに対する需要もどんどん高まるだろうとみられています。それに伴い、より高度な医療も求められます。
このため、これからはどんどん新しい治療法や医薬品が開発される可能性も高く、臨床研究はますます重要性を帯びるものと見込まれています。実際国レベルで臨床研究コーディネーターの育成プロジェクト計画も進められているといわれています。
看護師の方でキャリアアップやキャリアチェンジを検討しているのであれば、臨床研究コーディネーターの資格を取得すれば、今後活躍できる範囲も広がってくるでしょう。
臨床研究コーディネーターの資格に興味がある看護師さんへ
病院で治験機関や医薬品メーカーの要請に応じて、治験を実施することがしばしばあります。この時看護師が臨床研究コーディネーターを持っていると、治験の手続きもスムーズに進みます。
治験を積極的に受け入れている病院では、採用される可能性は高いと思いますよ。
病院以外でも、治験を企画する企業や医薬品メーカーに就職して活躍する方法もあります。ナースだけでなく、一般のOLの経験も積みつつ、今までの看護師の経験を活かしたいという人にもおすすめの資格です。
臨床研究コーディネーターは事務作業が多くて、製薬会社や医療機関、被験者の間の調整業務が多いといわれています。そこでコミュニケーションスキルに長けた看護師の方が向いていると思います。
書類の作成もありますから、ワードやエクセルのような基本的なパソコンスキルは押さえておきたいところですね。