看護師のスキルアップ資格「運動器リハビリテーションセラピスト」
運動機能などが失われた患者に対し、機能回復のための訓練を実施するのがリハビリです。リハビリには作業療法士や理学療法士のような資格を持った人が当たります。
その他にもリハビリに関する資格の中に、運動器リハビリテーションセラピストがあります。「みなしPT」と呼ばれることもあります。
運動器リハビリテーションセラピストは2015年の時点で約6000名の資格保有者がいます。試験が行われるのですが、難易度は高くありません。
受験するためには講義を受講し、講義がすべて終了したところで、試験を実施します。講義内容がきちんと頭の中に入っていれば、合格できる可能性は極めて高いです。合格率もほぼ100%で推移している所からでも難易度がお分かりになるでしょう。
運動器リハビリテーションセラピストの資格取得方法・条件
日本運動器科学界という一般社団法人が認定をしています。
受験資格
日本運動器科学界の主催する講義を受講すれば、受験資格が得られます。ただ誰でも講義を受講できるわけではなく、以下の医療関係の国家資格を持っている人で、日本運動器科学界の所属する常勤指導医のいる医療機関で勤務していないと受講できません。
・看護師
・准看護師
・あんま・マッサージ・指圧師
・柔道整復師
さらに講義は600名定員となっていて、充足次第募集を打ち切ります。運動器リハビリテーションセラピストになりたいのであれば、早めに応募することです。
審査方法と更新制について
講義がすべて終わったところで、試験が実施されます。マークシート形式の筆記試験で、20~25問程度出題されます。すべて講義で教わったことが問題になります。
試験に合格すれば、運動器リハビリテーションセラピストの資格を取得できます。ただしこの資格は更新制をとっていますから注意しましょう。
5年ごとに資格の更新を行うのですが、更新するためには以下の4つの条件をすべてクリアしないといけません。
・資格継続研修会を受講し、5年間に12単位を取得
・オンラインで症例報告
・日本運動器科学界学術集会への参加
・実技研修で1単位を取得
また資格取得時から所属している医療機関が変わると、また一から資格取得しないといけません。転職を希望する人は、まず資格取得の前に転職活動を済ませてしまった方が良いかもしれません。
大病院の看護師におすすめ
総合病院や大学病院で勤務している人には、おすすめの資格といえます。大規模病院の場合、いろいろな診療科目があります。そして患者によっては、複数の診療科目のスタッフが連携して治療に当たることもあるでしょう。
外科はもちろんのこと、内科の患者の中にも体が不自由でリハビリの必要な人もいるかもしれません。このようにリハビリテーション科と連携するときに、運動器リハビリテーションセラピストの資格を持った看護師がいると心強いです。
リハビリについての専門的な知識を持っているため、意思伝達がスムーズになります。自分が担当している患者がリハビリを利用することの多い看護師は、運動器リハビリテーションセラピストの資格を取得しておいて損はないはずです。
運動器リハビリテーションセラピストの資格を取得すると、資格手当の付く可能性があります。また場合によっては、自宅療養している患者の訪問を担当することもあるかもしれません。そのような場合には時間外勤務や出張手当などがさらに加算される可能性も期待できます。このように給料にもプラスになるかもしれないのが、運動器リハビリテーションセラピストの魅力といえます。
運動器リハビリテーションセラピストの資格に興味がある看護師さんへ
運動器リハビリテーションセラピストを持っていると、整形外科やリハビリテーション科を持つ病院やクリニックで活用できます。また自宅療養している人の訪問看護をしている事業所でも、資格を持っていれば高く評価される可能性は高いですね。
運動器リハビリテーションセラピストの資格を持っているスタッフの在籍していることは、医療機関にとってもメリット何です。診療報酬の加算対象になるからです。そこで整形外科の医療機関の中には、看護師の資格取得を積極的に推進しているところもあるほどですよ。