ローテーション研修への取り組み方
新人看護師が、一人前に成長するには3年は時間を要すると言われています。しかし、新人看護師には、リアリティショックという理想と現実へのギャップに対する衝撃により、入職1年以内の退職は9.2%、概ね1割の看護師がドロップアウトすると言われています。
その衝撃を和らげ、早期退職を回避する事が、看護師不足と言われる日本の医療を維持、向上させる為に必要と言われています。
その対処法として、ローテーション研修を行う医療機関が増えています。
これは、自分の理想と自分に適した職場環境は異なり、自分に適した現場を発見し、意識高く仕事を継続するための選択幅を広げるための試みです。
ローテーション研修のメリット
医療や看護の知識や技術は、一部署を経験するだけでは身につけられないことが多くあります。複数の診療科をめぐり、その部署の特徴や雰囲気を身に感じながら、その現場に必要な技術を経験していきます。
基礎知識をまんべんなく習得する事で、応用力や対応力を身に付けた看護師を育成できます。
そして、自分に適した現場や自分がしたい看護を明確化出来ると言うメリットがある研修です。この経験をもとに、配属箇所を変更できる医療機関もあります。
ローテーション研修の目的
配属先の看護や実践内容は、時に偏ることがあり、急性期で無ければ経験できない内容、手術室で無ければ経験できない内容、慢性期病棟や透析病棟でなければ経験できない内容、外来で無ければ経験できない内容など、各部署の特徴があります。
未経験項目が多くなると、実戦力に偏りが生じ、臨機応変に対応しにくい看護師が育ちます。様々な医療現場を経験し、必要なケアや処置、それぞれに入院する患者と関わることで学びことが多くあります。
入院患者の特徴も、健康段階や疾患や治療の特徴により異なると言う事もあります。あらゆる患者へ対応できる看護師になるためにも、それぞれの現場を経験し、多くの患者に関わりコミュニケーションを図ってみることが必要です。
視野を広げて、幅広く対応できる看護師を育成するためにローテーション研修を導入する医療機関が増えています。将来の方向性を見出す為にも一役買うのがローテーション研修です。
ローテーション研修の方法
急性期配属看護師には、慢性期病棟や手術室、外来などの分野の異なる現場への配属となります。また、慢性期配属の看護師には、急性期や手術室、外来などの、異なる現場への配属となります。
多くは、2週間から4週間程度をローテーション機関とする医療機関が多いようです。
また、新人看護師の看護技術チェックリストに則り、達成・経験すべき経験項目などを進行させる医療機関もあるようです。教育指導者が、ローテーション研修に関わり、OJT研修としてサポートします。
新人看護師のローテーション研修への取り組み方
研修の目的は、あらゆる医療・看護実戦を行い、配属先で経験できない項目を実践していく、視野を広げると言う目的があります。
よって、自分がこれまで実践したことが無い、自信のない内容を一つでも減らせるよう指導を依頼し、学んでいく姿勢が必要です。教育する指導者も、多くの業務を抱えています。
他部署の新人スタッフを教育することとなるため、大きな負担となります。やる気のない新人看護師への指導はやる気が低下します。学ばせてもらう新人看護師の姿勢と態度は弁えておきたいものです。
前向きに実践していく姿勢
与えられた課題をクリアするということが目的です。しかし、実践をさせてもらう新人看護師は、事前学習と予習や復習で、実戦力を自分のものと定着できなければこの研修の目的が達成できません。
あまり興味のない分野へのローテーションの場合もありますが、看護師としてのスキルアップ、知識・技術の向上を目指し、あらゆる現場に対応、応用できる人材へ成長するために自ら学ぶ姿勢で研修に参加しましょう。
教育に対する有難さと敬意を払う姿勢
自分の配属先に来る看護師を教育するわけではありません。教育担当者も、病院全体の新人看護師の教育と質向上を目指し、力を貸してくれます。
その有難さを感じ、敬意を払うためには、研修の意欲と姿勢を表現し、伸びていきたい思いを伝えることが必要です。教える側のモチベーションは、学ぶ側の意識や気持ちが加担します。
良い教育を受け、能力開発に役立てたい新人看護師は、教えてもらえることへの感謝を行動に変えて表現しましょう。