新人看護師が知っておきたい医療事故に関するあれこれ
看護師の行う仕事は、人の手で行われ、時に失敗やミスが起こります。
人の行う事に確実や完璧という事はなく、人というものは失敗するものと理解し業務に当たる事で、確認動作を繰り返す事やマニュアルを徹底する事、危険予知や事故防止対策を行う事でミスや失敗を防止し、もしもの時に備えます。
新人看護師も現場で実践し、経験を積んでいると時に「危ない」と感じたり、「ひやっと」することがあります。その危険性を感じ対処できれば、未然に事故を防止する事が出来ますが、繰り返す実践や経験により「大丈夫だろう」と判断したり、確認操作を減らす、慣れから生じる安心が出始めた頃、初めてのインシデントやアクシデントを起こします。
重大な医療事故やヒューマンエラーを起こさないために、新人看護師が心得ておきたいことをまとめてみます。
新人看護師の医療事故の実態
インシデント報告を開いてみると、経験年数一年未満の新人看護師のインシデント報告は全体の二割を占めると言われています。
経験の浅い新人看護師は、危険予知能力が備わっておらず、危険を認識できない、事故に対する対策が取れずにインシデントを引き起こしてhしまう事があります。
このインシデントの経験が、時に新人看護師のやる気や自信を失墜させ、看護師として働く意欲を低下させてしまう事があります。
また、医療事故やミスは病院の評判にも関わり、患者や家族の不安をあおる要素ともなります。特に、新人看護師のミスは、新人教育や教育体制の甘さを連想させ、より病院のイメージを低下される要因ともなります。
よって、医療現場では医療事故を起こさない為の対策が多く考えられています。
新人看護師が起こしやすい医療事故と事故の一例
・薬や与薬に関する事故(約15%)
投薬時間を間違える、投薬経路を間違える、投薬患者を間違える、投薬速度を間違える、投薬回数を間違えるなどのミスがあります。
・ドレーンやチューブに関する事(約12%)
急性期病棟に多い術後ケアにドレーン管理や各種チューブを挿入しての管理が必要な患者がいます。この管理不足による医療事故があります。また、患者の理解力や判断力により起こる事故もあります。
・療養上のお世話(約58%)
看護師の行う仕事の多くは、療養上のお世話です。ここで最も多いと言われる医療事故は、「転倒転落」と言われています。
患者自身は、自分の身体状況を的確に理解できておらず、無理な行動や動きをすることがあります。その為に転倒や転落を起こすことがあります。
麻痺や後遺症による機能低下を受け入れられず、混乱と拒絶を起こし、無理に動こうとする患者もいます。
この他、認知力低下から危険予知が出来ない患者は、状況判断や理解が出来ず転倒転落をすることがあります。
また、疾患や病状により状況理解が出来ない患者、意識の遠のいている患者は、入院という環境に適応できず、拒絶し、抵抗し、ベッドから転落してしまう事があります。
転倒転落以外にも、食事の援助で嚥下能力をアセスメントできずに誤嚥の原因となったり、経菅栄養の速度や方法を間違えて医療事故に至る事もあります。
新人看護師が医療事故を起こしやすい時期
まず、経験一カ月から二カ月の新人看護師は、先輩看護師と看護活動を行う事が多く、インシデント報告を受けることは少ないと言われています。
二カ月、三カ月と監視の目が遠のいていくころから、新人看護師の医療事故が増えてくる傾向にあります。三カ月程度たち、病院の仕事に慣れてきた頃、まず新人看護師はミスを犯すようになります。これは、出来る仕事が増えてきて、監視やフォローの手が緩むことが起因します。
一度ミスを経験した新人看護師は、気を引き締めニスが少なくなります。そして、次に医療事故が増える時期は、半年を経過したころです。日勤業務の一人立ちや夜勤業務の導入により、新人看護師に与えられる仕事量は増えます。その対応と、疲労、生活リズムの変調から心身のバランスを崩し、ミスを起こすことがあります。
そして、またミスを犯した新人看護師は、気を引き締めます。そして、また、新人看護師がミスを起こしやすい時期が来ます。
それは、入職して一年を経過する前の年明け時期です。これは、病棟の特徴を理解し、それなりに慣れて仕事が出来るようになる頃です。「出来る」「出来るようになった」との成功体験は、時に人の観察や確認という作業を怠る結果とし、チェック機能やチェック意識を低下させミスを犯す原因となります。
新人看護師が引き起こす医療事故で、重大な死亡あそれに準ずる機能障害を引き起こす結果となる医療事故は、全体の6.4%と言われています。
医療事故を起こした時の対処法
まずは、患者の安全確保と状況を改善するための行動を取りましょう。そして、その場にいる患者や家族に謝罪しましょう。
次に、上司や先輩に報告し、自分の行った対処が適切かどうかを確認して貰い、必要な対処やアドバイスを貰います。そして、必要時、医師に報告し検査や処置の指示を貰います。
そして、インシデント報告書の作成と振り返りを行い、次に同じ事故を起こさないための対策を考えます。
新人看護師が医療事故を起こさない為の対策は、確認作業を怠らないことと、看護実戦により看護経験を積むことです。経験する事でアセスメント能力は判断力、危険予知能力を高めて時部に対する認識や対処策を考えられるようになります。
このことから、失敗を恐れず実践する事も新人看護師の医療事故回避に必要な姿勢と言えます。