新人看護師が知っておきたい「輸血」の基礎知識
輸血療法は患者さんの命に直結する治療で、この取り扱いの誤りは重大事故に繋がりますし、この治療が患者さんの命を救う、命に直結した治療でもあります。
また、重大な副作用を発症する事もある為、輸血療法を実践する際は、その取り扱い法、観察点、実施法など多くの知識と注意が必要です。
ほとんどの医療機関では、マニュアル化されて、その一部始終を取りきめられていることが多く、その手順を熟知しておく必要があります。
新人看護師は、輸血療法と聞くと、自分が実施することに不安を感じたり、戸惑う事があります。そんな時こそマニュアルを遵守し、安全に実施できるよう努める必要があります。
製剤の取り扱い方
赤血球製剤
出血や赤血球不足の際に使用されます。
保存温度:2~6℃有効期間:採血後21日間
血漿製剤
出血や出血傾向にある患者さんを対象に投与されます。
保存温度:-20℃以下有効期間:採血後1年間
血小板製剤
血小板数低下、血小板機能低下による出血や出血傾向悪化の際に使用されます。
保存温度:20~24℃有効期間:採血後4日間
全血製剤
現在は、その利用の副作用に関する事や、臓器負担、利用リスクを考慮し、各成分製剤の補充で改善しそうなケースには行われなくなっています。
大量出血などにより血液全体が不足している際に使用されます。
保存温度:2~6℃有効期間:採血後21日間
輸血療法の注意点と実施法
輸血の注意点
①実施には、必ず同意書が必要です。
本人か、本人が判断できない状況であればご家族に同意と署名を貰い、原本を手渡し、コピーをカルテに保管します。
②製剤のチェック
その準備された製剤が、患者さんのものかを確認します。
氏名、血液型、製剤番号、クロスマッチの結果、放射線照射の有無、必要な血液の種類と単位数の確認、有効期限、製剤内の異常有無の確認
輸血製剤のチェックは、一人では行いません、看護スタッフ二人以上で必ず確認します。受け取る際、準備する際、輸血前、輸血実施直前に複数回、確認作業を行います。どの医療機関でもマニュアルがある為、その手順に沿って確認作業を行います。
③保管方法の徹底
製剤ごとに保管方法が異なりますので、保管法の熟知が必要です。
④副作用の観察と異常早期発見
アナフィラキシーショックや重大副作用の確認の為、投与15分が少なくともそばで付き添います。異常が観察されれば、すぐに投与中止し、医師に報告します。
⑤記録物の管理
開始時間と終了時間、その最中のバイタルサインや副作用等の確認、輸血内容等を細かく記載します。
まとめ
不安な時は、不安な事を先輩やリーダー等に伝え、ともに確認して貰いながら安全に実施します。なにより、安全が大切な輸血療法です。
安心して自信を持って出来るまでは、自分からフォローを依頼しましょう。
輸血治療は、患者さんの生命を左右する重要な治療です。しかし、その副作用が患者さんの命を縮めたり、苦痛を強めることにもなります。
患者さんが、安全に健康を回復出来るよう、新人看護師のその方法や注意点を熟知し、正しく輸血が行える知識と技術を身につけましょう。