新人看護師のケーススタディへの取り組み方
ケーススタディと言う言葉、もう聞きたくないと言う新人看護師は多いのではないでしょうか。
学生時代に、看護実習の振り返りで、自己の看護の振り返りと患者さんとのやり取りや関わりについて考え直した経験があるでしょう。自己の看護について振り返り、文献を探し、裏付けをとる工程に頭を悩ませた時期があったでしょう。
ケーススタディは、看護研究の前段階でもあります。これを上手く実績や経験として身につけることで、看護研究を行う際の糧や力に出来ます。
新人看護師のケーススタディの取り組みについてまとめてみます。
ケーススタディの目的
●新人看護師が、経験していく上で困った事例について、困ったことやどうすれば良いかを振り返ります。それを、文書としてまとめて発表する事で、自分の対応や行った看護について、他者の意見を聞き、学びを深める、次に活かすことを目的とします。
●この新人看護師の発表をもとに、出席者全員が、今後の自己の看護に活かし、よりよい看護を実践できるよう学びを深める場とします。
よって、ケーススタディとは、新人看護師のみの学習や研究の場ではなく、そこに居合わせる看護職員全員の学びの場となるものです。
新人看護師にとってのケーススタディ
看護実戦も根拠を確認するために、新人看護師には看護の振り返り、ケーススタディを行う場合があります。
学生時代、一人の患者を受け持ち、その一人についての看護転換を繰り返してきました。しかし、就職し臨床経験をすると、複数の患者を受け持ち、多重課題をクリアしなければならなくなります。
看護師として働くと、その業務を実戦し、こなすことに必死になり自分の看護について、患者さんとのやり取りについて考えたり、振り返る余裕が無くなることがあります。
よって、独りよがりの看護になったり、患者さんの満足度の低い看護を行う結果となることがあります。
学生時代には、多くのテキストや参考書を基に看護展開をしていましたが、臨床現場でテキストや参考書を広げることはない為、行う看護が本当に適切かは、振り返る意外難しいのが現状です。
よって、今一度、自分の行った看護が適切であったか、患者さんとの関わりに問題が無かったかを考え直す機会、今後の課題を見出したり、看護観を深めたりする為に、ケーススタディが用いられることがあります。
患者さん主体の看護が出来ず、関わりややり取りに難しいと感じたケースでは、何か自分の対応に足りないことが原因となることがあります。しかし、それは、ゆとりや改めて振り返る時間を持たなければ、「あの患者さん、面倒だったな」と言う印象だけで通り過ぎてしまいます。
そのままでは、看護師としてのスキルアップや看護師としての資質の向上は見込めません。よって、新人看護師にはケーススタディにより冷静に振り返ってみることが必要と言われています。
ケーススタディの進め方
クリニカルラダーによる看護師継続教育を行う医療現場が多い中、レベルⅡをクリアするには、ケーススタディをまとめることが必要となります。
やはり、ケーススタディをスムーズに進行するには、自分の興味のある疾患や難しすぎない症例を選択する事が必要です。
複雑な症例や疾患、状況の把握しにくい患者をまとめることは、アセスメントポイントが多すぎて、まとめている最中に音を上げる結果となりかねないからです。
楽な症例を選択している、怠慢だと感じてしまうかもしれませんが、症例を見直し、今後の看護に活かすこと、自分の看護を振り返ることが重要であって、難しい事を成し遂げることを目標としていません。成し遂げることが大切なのです。
適切な助言を得る
一人で抱え込んで、「出来ない」「」難しい」と悩んでいては、負担ばかりが残り、日々の仕事に支障を来たしてしまうこととなります。教育担当者やプリセプターなどの経験者に助言や指導を求めて、悩みすぎないことも大切です。
1年目や2年目の看護師は、日々の業務や覚えることで必死です。不規則勤務へ慣れないといけないなど、生活習慣の変化による負担も多くあります。
その状況下で円滑にケーススタディをまとめ、自己の能力開発に役立てるのであれば、周囲のサポートを上手に得ることも考えましょう。
進行状況の共有
ケーススタディは、一人で行うものではありません。必ず、偏った思考にならないように、適切な進行が出来るようにサポート役の指導者がつきます。
その担当者に進み具合を話し、相談をしながら実践していくことで、間違いや偏った考え方の修正や是正をしながら進めていく必要があります。ひとりで完成させるものではないという認識も必要な考え方です。