新人看護師とアクシデント・インシデント
新人看護師として、最も避けたいことが「インシデント」「アクシデント」報告ではないでしょうか。新人看護師が失敗する事は当然ですが、その報告をすると怒られるし、自信をなくすし、いろんな意味で辛さを感じます。
現場におけるインシデントやアクシデント報告の2割は、新人看護師が起こしていると言われています。
転倒・転落、確認ミス、伝達ミス、ケアに関する失敗や患者さんや家族の方を怒らせてしまうなど様々なミスが予測されます。
患者さんの負担や苦痛を強める内容となることが多く、患者さんからの信頼を失墜してしまう事になりかねません。なにより、看護職者として患者さんに不安や不信を感じさせてしまう事は避けたいものです。
新人看護師の起こしやすいインシデントやアクシデントを理解し、その対応策を学んで、回避策を練りましょう。
新人看護師が起こしやすいインシデント
アセスメント、情報確認不足による転倒・転落事故
患者さんの身体的状況や特徴を理解していないために、転倒に対する認識が甘く、よう介助歩行の患者さんを独歩させることにより転倒させてしまう。
認知症など、認知レベルの把握不足や徘徊との認識が薄く、歩き回る患者を放置して転倒させてしまう。
注射や点滴の施行時間や速度ミス
時間把握や時間の管理が難しく、実施しなければならない注射や点滴更新時間を見過ごしてしまう。急患対応中に、病棟患者の点滴施行時間を忘れてしまったなどがあります。
また、一時間かけて滴下すべき抗生物質などの点滴を指示確認不足や滴下設定ミスにより早めに終了してしまう。指示確認を怠り、注射の部位を間違えた等のミス報告があります。
指示確認不足により未実施事項がある
電子カルテ化により、指示確認をパソコン上で行うようになっています。更新と確認を繰り返さなければならず、緊急の変更や指示追加について見落とすことがあります。
新人看護師ゆえに、日々のケアや処置を行うだけで精一杯、手一杯となり、急な変更への対応力が低く、変更や追加内容に気付かず、ケアや処置、検査などを見落とすことがあります。
ひよこマザーのワンポイントアドバイス
人間の行う行為は、確実ではありません。まずは、その認識を持ち、自分を疑い確認を繰り返すことを習慣づけることが必要です。ダブルチェック、トリプルチェックを繰り返し、実施前にもう一度確認する事により確認不足による失敗を回避します。
また、まだ未経験が多い、慣れない仕事が多い新人看護師であることを認識し、先輩看護師に連絡と相談を繰り返し、行う事に関してフォローをお願いする姿勢も必要です。急患等の対応で、注射時間や指示施行時間にゆとりが無い場合は、その対応を行う前に、ともに働く看護師に、指示を依頼しておく事で忘れることを回避できます。
危険予知や転倒転落に対しては、アセスメントと患者の身体状況、精神状況、疾患などを情報収集し、どのような患者さんであるかを十分に把握する事が必要です。せん妄や認知症であれば、言葉で言っても制止が効かない場合があります。
そのような場合の「おや?」と感じる感性も大切にし、その対処は自分でできなくても、その状況を先輩や上司に報告し、対処への助言を貰い対応することも新人看護師には必要です。
「気付き」「把握」「確認」「相談」が新人看護師が、インシデントやアクシデントを回避するために必要な姿勢ではないでしょうか。
自信が無い時は、自信が無いとはっきり言えるのは、新人の時代だけです。一緒にお願いします、見守りお願いしますとサポートを依頼する勇気も必要です。
また、万が一インシデントやアクシデントを起こしてしまった場合は、一刻も早く上司や先輩にありのままの状況を説明し、対応について助言を得て適切に対応する事が大切です。
転倒患者には、ベッドへ安全に戻し、バイタル確認、怪我が無いかなどの確認を行い、医師への報告と検査の指示などを確認します。そして、必要な処置を行い、患者さんへの謝罪や家族への説明を行います。適切な対応後、患者さんやご家族へ真摯に謝罪する事が重要です。