リアリティショックの実態に迫る!
新人看護師のリアリティショックとは?
新人看護師が離職してしまうケースの中でも、問題になっているのがリアリティショックです。リアリティショックとは簡単に言うと、自分の理想と実際の職場の現実にギャップがあって精神的なショックを受ける状態です。新人看護師の多くが最初に通る道といってもいいでしょう。
看護師になるために、看護学校でいろいろな教育を受けます。さらに実際に医療機関で実習も行います。しかしそれでも学校では教えてくれない想定外の事態が日々、病院の中では起こります。このような現実の壁にぶつかった時にショックを受け、中には精神的に立ち直れない状態になる看護師も出てきます。
特に看護師という職業に就くことに対して高いモチベーションを持っている人、理想を高く持ち過ぎている人がリアリティショックを受けやすい傾向が見られます。ただこのリアリティショックは何も看護師だけに見られる現象ではありません。どの職種でも多かれ少なかれ、リアリティショックで悩む人はいます。
重要なことはリアリティショックとどう向き合って、どう乗り切るかということです。時には妥協も必要でしょう。理想は理想と気持ちの中で折り合いをつけ、あまり気負いすぎないことがリアリティショックを克服する方法といえます。
リアリティショックによる離職・転職の事例
●ケース1
新人看護師のAさんは念願の看護師になって、ある有名な総合病院に就職しました。小さいころから看護師になりたいと思っていて、まさに自分の長年の夢をかなえました。彼女自身も高いやる気を持って、先輩看護師に少しでも近づけるように頑張りました。
しかし所詮は経験のない新人看護師です。先輩や上司のようにスムーズに看護ができません。また何をすればいいのかわからなくなって、ミスをして先輩や上司にしょっちゅう怒られる日々が続きました。「ほかの人はできていることがなぜ自分はできないのか?」と思い悩むようになります。そして「自分には向いていないかもしれない」「将来続けていても立派な看護師に慣れない」と思い、結局離職してしまいました。
●ケース2
Bさんは学生時代けがで入院した時に、親身に看護師さんに接してもらった経験から自分も看護師になることを志しました。看護大学に入学しました。3年制ではなく、4年制の大学に行くことで看護師の基礎をしっかりと身に着けたいと思ったからです。そして大学を卒業して、看護師免許も取得し、晴れて看護師デビューを飾りました。
Bさんの就職したところは、表向きは和やかに各スタッフが仕事しているように見えて、中ではどろどろとした人間関係の職場でした。患者の前ではあまりそのような表情を見せませんが、裏ではほかの看護師の悪口や悪い噂を吹聴するような人も見られました。Bさんは直接攻撃されるようなことはありませんでした。
しかし白衣の天使と言われる看護師が、このようなドロドロした感情を出す所にショックを受けました。これがいわゆるリアリティショックになってしまって、その病院を離職しました。現在は仕事量が多く大変ではあるもののスタッフも少なく、気軽に仕事のできるクリニックに転職しています。
●ケース3
Cさんは小さいころから看護師志望で、パソコンなどもそつなくこなせるので看護師に関する情報を学生時代から集めていました。夜勤もあって、大変な仕事であることは理解していました。そして大変な仕事でも何とか乗り切ってみせると、強い思いで就職しました。
しかし自分の想像をはるかに超える激務だったので、リアリティショックを受けてしまいました。特に厳しかったのは残業ですが、日勤は通常夕方に終わるはずです。ところがCさんの勤める職場は、日勤が夜の8時くらいになるのは当たり前、下手すると病院を出るころには日付が変わってしまうこともあったほどです。このような激務についていけなくなって、結局離職してしまいました。