新人看護師とパワハラ
「パワハラ」と言う言葉を聞いたことがありますか?
パワーハラスメントの略語で、同じ職場で働く人に対して、職務上上の立場に立つ人材が、部下や地位の低い人材に対して、業務や指導の範疇外で精神的に、肉体的に苦痛を与えることを言います。
看護業界で例に挙げると、師長や主任が必要以上に叱責したり、先輩看護師がいじめや嫌がらせを行う事があります。
初めは、「自分の能力不足」と感じ、怒られて当然と感じてしまう新人看護師も、日々続く現状に違和感を感じたり、苦痛や悲痛、時に精神疾患に陥る場合もあります。
新人看護師である自分を苦しめるパワーハラスメントに対しての認識を深め、その対策と立ち向かい方法について考えていきましょう。
新人看護師が受けるパワハラの実例
暴行や傷害など、身体的苦痛を伴う指導を受ける
教育や指導の一環として、頭を叩かれる、ファイル等を用いて頭や身体を叩かれる、叱責しながら壁へ追いやられる、いじめや嫌がらせで足を掛けられるなどの行為があります。また、肉体労働を言い渡されることもあります。
ただ教育としてきつく叱っていたことが、身ぶり手ぶりが大きくなり、叩く、蹴るなどの暴行に至る場合があります。
誹謗中傷を受ける、言葉による攻撃を受ける
「出来ない」「無能」「辞めればいいのに」「居てもいなくても一緒」など、新人看護師を傷つける言動で、新人看護師の精神的ダメージが強い場合、パワハラと判断される場合があります。
指導する上の立場の人間は、何気なく発した言葉でも、それを受け取った新人看護師が辛い、ひどい、仕事に行きたくないなどと感じてしまう言葉は、意識していなくてもパワハラになることがあります。
精神的パワハラは、言葉だけではありません。新人看護師が作成したレポートや計画書、評価などを破り捨てたり、白紙に戻したりして、労を簡単に消滅してしまう行為も、強い精神的ダメージと判断され、パワハラと言われることがあります。
仲間はずし、適切な教育をしない、無視をする
教育を受けなければいけない新人看護師を集団から排除しようとしたり、コミュニケーションの対象から除外することはパワハラにあたります。
仕事を貰えない、仕事を教えてもらいない、必要な情報や変更事項を伝えられないなども仕事に支障を来たし、パワハラにあたります。
能力以上、能力以下のことを要求される
まだ看経験の業務に対して、教育を受けない状況下で実践するよう指示を受けたり、看護行為ではない掃除、買い物、整理など雑用しか任されない場合もパワハラに当たると言えます。
上司や教育を担当する職員は、新人看護師の能力を適切に判断し、フォローし、適正とされる業務量の調整を求められます。
新人看護師のパワハラ対処法
まず、上司からの注意や指導は、理に適っていればパワハラとは言えません。必要な指導がパワハラと判断されては、現場でも何を説明して教育していけばよいか混乱が起こります。
指導を受ける新人看護師も過敏になりすぎず、教育の範囲内の指導に対しては素直に受け止める姿勢も大切です。
職場の人に相談を
パワハラと感じたら、その状況が継続されることで精神疾患に発展してしまう事があります。相談出来ず、我慢を繰り返していれば、自分の精神を病み、看護業はおろか、社会生活すら困難になることがあります。
対処法として、まず、信頼できる同僚や上司、先輩に助けを求める必要があります。人事に相談する事で配置換えによる環境の転換がなされることも期待できます。
専門機関への相談
職場に相談が出来ない場合は、都道府県の「総合労働相談コーナー」や「法テラス」への相談が無料で解決出来る方法です。その際は、記録やパワハラをされた事実が必要となることがあります。
転職
最も多い決断は一身上の都合で退職を考える新人看護師が多いという現状です。パワハラを行うような職場は、配置換えがあってもその体質が変わらないことがあります。
看護師の求人はたくさんあります。新人看護師でも、新人看護師として早期退職を果たした第二新卒歓迎という職場も多くあります。
教育体制や人間性の良い職員の集まった職場は多くあります。その働きやすい環境を求めての転職も一つの選択肢です。