新人看護師の異動の実態
普通なら新人看護師が異動となるケースはなかなか無いということもあり、異動を言い渡されるとびっくりすると思います。
「自分は看護が向いていないのか」「今の現場では不適格と判断されたのか」「自分は必要ない職員なのか」と悩んでしまいまう新人看護師も多いです。
では、新人看護師が異動となる「本当の原因」と異動を告げられた時の「拒否や対応」について理解してみましょう。
新人看護師が異動になるケース
新人看護師が異動になる場合は、病院の都合と新人看護師の事情と大きく分けて2通りがあります。
病院の事情や都合による異動
●新病棟設立や病棟閉鎖による人員異動
病院の拡充や、新病棟設立で新規採用職員がその人員補充に異動を命ぜられることがあります。また、病院規模の縮小による病棟閉鎖が異動の要因となることがあります。
この場合は、自分の能力不足や評価が悪い為の異動ではなく、仕方なく病棟を閉鎖させるため致し方ない場合と、時に期待されるがゆえに新病棟へ行って欲しいと命ぜられることがあります。
●欠員による人員補充に為の異動
他部署で退職や定年、産休や育休、療養休暇により人員が必要となることがあります。求人により新規採用が得られれば特に問題がありませんが、そう簡単に人員補充が出来ない場合があります。
そのような場合は、自分の能力に関わらず、特に人材の充実した病棟などのスタッフが異動対象となることがあります。その退職者が、新人や経験の浅い看護師であれば、そのレベル同等の新人看護師が異動対象となる場合もあります。
●新人看護師の現配属先の不適任
新人看護師が希望し、配属された職場でも、したい仕事と適任の仕事は異なります。失敗を繰り返したり、仕事の覚えが悪いとなると、その実力により異動を命ぜられることがあります。
その時は、時に自分に合っているであろう病棟を異動先に選定されることが多く、ミスが少なくなったり、適合しやりがいある現場への好転する状況になる事もあります。
新人看護師の希望による異動
●プリセプターとの関係悪化による異動希望
プリセプターの教育方法が厳しい、いじめともとれる、精神的苦痛が多い場合、教育の上下関係に不安を感じ、自ら異動を希望する場合があります。プリセプター変更という対策もありますが、それを行ってしまっては、両者が病棟に残ることとなり不協和音を生じることがあります。その異常事態を回避するために、異動を認められることがあります。
●配属先の仕事に対して自信喪失し異動希望
周囲は特に何も悪い評価をしていなくても、自分自身が自信を失い仕事に悪影響を与えてしまう事があります。自分には不適任という新人看護師の自分への酷評が、異動の意思表示となる事もあります。
モチベーションや仕事に与える影響を考慮し、異動を叶える職場もあります。
●身体的健康状態悪化や精神疾患やストレスによる異動希望
自ら希望して配属が叶った新人看護師も、命ぜられて配属された新人看護師も、新人看護師のリアリティショックや現実と理想の衝撃により心身のバランスを崩してしまう事があります。
心身症、うつ病、パニック障害が看護師に起こりやすい健康障害と言われています。この疾患や症状を改善するためには、環境を変えることが必要な場合があります。新人看護師の健康状態回復を目的に異動を許可されることもあります。
新人看護師が異動を断ることはできる?
基本的に、新人看護師であろうが、中堅看護師であろうが、管理職者であろうが異動を断ることはできません。雇用されている正規職員は、人事異動に関して意義を申し立てることが出来ないのが現状です。
しかし、その異動に対してどうしても受け入れられない内容や待遇、処遇であれば異動を拒否する事が出来ますが、人事に関して拒否をしたり抵抗する事は、その労働環境や立場を悪くすることもあります。
異動を拒否する理由があるなら、まずは相談から
異動を受け入れにくい、回避したい職員は、その状況や理由を伝えることはできます。
勤務条件や実態について勤務しにくい状況になる場合もあり、拒否という姿勢ではなく、相談という姿勢で抵抗する事は可能でしょう。
例えば、以下のような理由があれば、まずは相談してみましょう。
⇒子育てや介護など家庭の事情で職場環境を変えたくない場合、その異動先が夜勤や超過勤務の多い現場となることが予測され、勤務しにくい状況になることが予測できる。
⇒健康上の理由により夜勤や変則勤務が出来ないが、異動先は夜勤や変則勤務が必要となる。
異動することで得られることもある
自分に自信が無い場合や、興味関心が無い分野、馴染めないと判断できる等という自己都合では、異動を拒否できないでしょう。しかし、捉え方一つでプラスに解釈できる異動もあります。
能力アップと未経験分野への挑戦
新人看護師が異動となると、やっと覚えてきた仕事なのに、もう離れることとなり、中途半端な知識のまま別の世界へ入っていくことに抵抗を感じることがあります。
しかし、少しでも看護を経験し、なんとなく看護師の仕事や業務を理解できたころ、未経験項目や未経験分野がたくさんあることに気付きます。看護師としての経験値を高めたり、未経験分野に挑戦する事で看護師に求められる医療や看護知識に技術の経験による能力アップを見込むことが出来ます。
これまで経験した内容を活かし、これから経験することに活かすこともできるので、今までの努力が無になる事もありません。プラスに捉えて前向きに新しい環境へ適応する事がお勧めです。
昇進や給与アップの前段階
新人看護師に昇進は見込めませんが、勤務をしていくと昇進の為の異動を経験する事があります。
新人看護師の異動では、給与がアップする事もあります。病院の事情による異動であれば、給与アップを代償に異動となったり、実は忙しい現場で期待されての異動では、残業や手当てにより給与アップする事もあります。
新しい環境での心機一転
新人看護師は、時に今の現場で苦痛や不安を抱えていることがあります。その環境を離れて他の現場に入る事で、自分に適した職場や業務、雰囲気で仕事できるようになり、適任な労働環境になる事もあります。
健康上努めらなくなった配属先を異動により離れることも状況改善に役立つ異動です。