ミスが多い新人看護師が見直したいポイント
晴れて看護師となり、憧れの職場に入職した4月、新人教育が始まり、看護師ってこんなに大変なのかと感じていることと思います。そうなのです。看護のお仕事は、大変なのです。
理想と現実、自分の動ける具合など、日々覚えなければならないことに対応出来る時もあれば、出来ないこともあります。仕事と言う環境に適応できない自分、業務をなかなか覚えられない自分に苛立ちを感じる時期でもあります。
プリセプターや教育指導者の指導を受けながら安全に業務を行っている今ですが、見学、実践と繰り返し、もう一人立ちしなければならない業務やケアが増えてくるときでもあります。そこで一人立ちするには、ミスなくスムーズな遂行を求められます。
しかし、失敗や間違いにより先輩に怒られたり注意を受け、自信喪失しそうな新人看護師さんが頭を悩ませる6月が来ました。頑張りましょう。まだ、始まったばかりです。自信をなくしそうな新人看護師さんに、ライターの看護師として少しアドバイスできればと思います。
新人看護師がミスをする原因
新人看護師に多いミスと言えば、注射や与薬などの薬剤に関わる業務と言われています。この他、危険予知や患者さんの身体的特徴のアセスメント不足や精神状態のアセスメント不足による転倒転落に関する安全管理ミスがあります。
時に、認知症患者さんが、違うベッドに横になっており、ケアや処置を違う患者さんにしてしまう事もあるようです。
その中で、新人看護師がミスを起こす原因を考えてみます。
タイムプレッシャー
病院看護では、学校の看護実習と異なり、複数の患者さんを受け持つことがあります。一人一人に必要な医療や看護は異なり、一日の内にしなければいけないケアや、時間を限定したケアや処置、検査や投薬などがあります。その全てに置いて優先順位を考え、時間通りに全てが安全に遂行できるよう計らいながら仕事を行う事が求められます。
その決定した優先順位をゆとりを持って行うほどの「心のゆとり」や「実務経験」が乏しいのが新人看護師の特徴です。差し迫る時間に緊張やプレッシャーを感じ、気焦りを起こしてミスを起こすことが多く見受けられます。
このような時は、先輩看護師に相談しながら、自分だけで問題や気焦り、業務の一切に関して抱え込まないことが大切です。ミスを起こしてしまっては、患者さんの負担や苦痛に関与するため、早め早めに報告、相談、フォローの依頼をすることが大切です。
確認不足
ダブルチェック、トリプルチェックを看護、ケア、投薬、処置、検査等を行う際に繰り返します。初めのころは、緊張感がある為、その確認作業を繰り返します。
しかし、慣れてくると、前に確認したから大丈夫と気の緩みが見えるようになります。そうして、確認を怠ったり、確認した様で、「大丈夫」と言う気持ちが先行して、「間違っているかも」という疑いの目が薄れてくることがあります。その気の緩みが原因でミスを繰り返すことがあります。
また、指示変更などの受けが上手くいかず、変更して言う事を確認できず、変更を知らずに元の指示を実践してしまう事があります。確認は、出来るだけ二人以上で行うようにしましょう。自分の眼が確かであるかと言う疑いの目が重要となります。人間は、ミスをするものと捉え、確認作業を怠らないことが重要です。
情報収集不足
新人看護師の起こしやすいミスの原因として、情報収集不足が挙げられます。患者さんに関する情報や、ケアや処置に関する詳細などの情報を十分に知っておらず、適切な対応がとれないことがあります。
業務開始前の患者さんの情報収集、ケアや処置方法の確認、変更内容の有無の確認を行い、情報を十分に得て準備万端な状況で仕事を開始する必要があります。
患者さんの身体面、精神面、治療やケア、医師やコメディカルスタッフからの指示など、あらゆる方向から情報収集しておく必要があります。特に急性期分野の配属先では、時間や一日で変化する事が多くあります。この変化に対応できるよう、情報収集が必要です。
ミスを起こした時に冷静に対処できるようにしておく
新人看護師がミスを起こした時は、まず、患者さんや患者さんの家族に対してミスを犯した時は、その場で一旦謝罪しましょう。そして、ケアや看護を行っている際は、その行為を安全に終了し、上司や先輩に報告します。
この時、必ず患者さんの安全を確保してください。もし、その場を離れることが危険を伴う予測が出来る場合は、ナースコールや声を出して助けを呼ぶようにしましょう。安全が確保できない時は、絶対にその場を離れないでください。二次的な事故や不備を起こしてしまう事があります。
そして、先輩や上司から適切な助言や指導を受け対応しましょう。医師の指示による対応が必要な際は、速やかに医師に報告し、検査や処置などの指示を受け、施行します。また、医師の指示は不必要な場合は、上司の指示に基づき対応しましょう。
そして、患者さんへの対応が終われば、ヒヤリハットなどの報告書を作成し、今後の再発予防に対する対策を考えましょう。人間なのでミスはつきものです。
同じミスを繰り返さないことが大切です。ヒヤリハットを書いたり、上司に報告する事がストレスに感じる新人看護師もいますが、絶対に隠してしまう等と言うことはよしてください。
ヒヤリハットを作成する理由は、責める為ではありません。新人看護師個人のみではなく、病棟に所属する看護師全員が同じ過ちを起こさないために作成するのです。自分の起こしたミスを振り返る事で、申し訳ない、悪いことをしたと感じることで、「二度と起こさない」と認識できることが大切です。
ミスを繰り返さない為にできること
ミスをした時、新人看護師でも、先輩看護師でも振り返りを行います。「なぜこのようなミスを犯したのか」「何がその原因だったのか」と原因を探ります。
そして大切なのは、あらゆるミスの可能性を探ることです。ミスを起こす原因は一つではありません。
ミスを起こした時の状況を振り返る
自分の精神状態、業務の蓄積状況、時間的なゆとり、自分の経験値、自分の身体的負担と、起こしてしまった失敗との絡みについて考えます。
落ち着いて、ゆとりある業務を心掛ける
優先順位やしなければならない事ばかりに気をとられてしまうと、確認作業を怠ったり、変更や変わったことに気づくことができないことがあります。安全に、業をこなすためにも時間、心にゆとりが必要です。
経験が浅く、時間を要するようなことに関しては、ぎりぎりの時間設定をせず、時間がかかることを想定して時間スケジュールを組みます。また、それでもゆとりが取れない時は、先輩にフォローを依頼する事でミスや失敗を回避しましょう。
先輩にフォローを依頼して、自分の評価などを気にする事があってはいけません。自分の技量にあった仕事を行わなければ、患者さんの苦痛の原因となります。