バイタル測定の基礎
バイタルサインとは、人間の生命を現す徴候と言えます。熱が測定でき、脈拍や心拍があり、血圧が測定でき、刺激の有無にかかわらずなんらかの反応がある事で生命の状況を確認できます。
医療機関を受診する患者さん、入院している患者さんの健康状態や疾患の状況を判断する指標ともなり、これを測定し、判断し、必要時医師に報告相談、指示を受けることは看護師の行う業務をなります。
これが適切に行えなければ、異変や急変に気付くことができず、状態悪化や最悪のケースでは、命を落とすという結果になります。また、健康管理をする患者さんにとって、自己管理が出来ているか、これからの管理意欲に左右される要因ともなる為、正確に測定し判断する必要があります。
新人看護師の多くは、学生時代の看護実習でバイタルサイン測定を繰り返し行い、新人看護師のチェックリスト内の「出来る」看護項目の一つが「バイタルサイン測定」であると言われています。
バイタルサイン測定の目的
検温・日々の健康チェック
入院患者さんの健康管理は、日々の定期的な検温による健康管理が行われます。病院や病棟の特徴により、一日の検温の回数や観察項目は異なります。
救急現場や手術直後では、数分、数十分毎の頻繁な測定をしたり、慢性期や療養型では各勤務時間帯の一日2回から3回行うなど、決められた回数を行うようになります。
不定期の健康チェック
緊急時や急変、症状が出現した時、検査やケアの前後など、患者さんの状態に変化が認められた時、決められた観察以外にバイタルサイン測定を行う事があります。
何がいつもと違い、その緊急性はどうであるか、これからの予後はどう予測できるかを判断する指標となります。
バイタルサイン測定以外の判断指標
患者の自覚症状や他覚症状、検査データ、食事量、食事摂取内容、排尿や排便状況、リハビリテーションや活動量、安制度、服薬内容やその効果と副作用の有無などもアセスメントに必要な事項となります。
単に、バイタルサインの数値に着目するのではなく、患者さんの発する現象を総合的に判断し、アセスメントに活かす必要があります。
新人看護師が身に付けるべきなのは「フィジカルアセスメント」
バイタルサインの測定自体は、どの新人看護師も同じように測定でいます。しかし、この得た情報を適切に判断し、治療や看護に活かすが大切なのです。
正常や異常の判断、異常時の対応、異常を引き起こした患者さんにはどのように関われば苦痛を緩和できるかと言う知識と実戦力です。
バイタルサイン測定以外に、フィジカルアセスメントという視点からの患者観察を求められます。
・呼吸音聴取
・胸部、腹部の聴取や打診、触診
・皮膚や爪などの観察や顔の表情
・排泄物の観察
・患者さんとのコミュニケーションから得られる情報
バイタルサインの測定を充実させ、その他の状態や情報を上手く組み合わせることで、正確な情報を判断し、適切な情報の活用、医師や先輩看護師への報告や相談により、異常早期発見対処が出来るのです。
バイタルサイン測定方法
バイタルサインの必要物品
・体温計
・血圧計
・聴診器
・時計や時間を計るもの
・アルコール綿
バイタルサインの測定方法
1.バイタルサイン測定を患者さんに説明し、了承を得る
2.プライバシー保護の為、カーテンを閉める
3.ベッドを挙上している時は、患者さんに了解を得て、平坦に戻す
4.ベッド柵が邪魔になる時は、外したりして測定し易い環境を整える
5.体温測定
腋下の中央のくぼみに向けて、45度程度の角度で体温計を挟みます。汗をかいている患者さんは、脇を拭いておく。
6.体温測定の間に呼吸回数と脈拍測定をする
呼吸回数は、患者さんに伝えると数値に変動か見られる為、測定していると感じさせないように自然な形で測定する。胸腹部の動きを1分間計測します。
脈拍は、患者さんの橈骨動脈に示指、中指、薬指に当て1分間計測します。左右差が無いかの観察も両手を借りて行います。
7.血圧測定をする
ベッドに血圧計を位置し、心臓と同じ高さに血圧計を位置します。
上腕動脈上にマンシェットのゴム嚢部分を当て、指二本が入る程度のゆとりで腕に巻きます。聴診器のイヤーピース耳に当て、膜面を上腕動脈上に置きます。
測定前に、患者さんのいつのも平均値を知っておき、その20mmhg程度高い数値ほどに加圧し、排気弁を緩めていきます。1秒2mmhg程度排気していき、まずはじめに「ドクン」とした音がすれば、その値が最高血圧です。
そして、最後に聞こえた音が、最低血圧とします。測定後、聴診器を外し、マンシェットを外して測定終了です。
8.バイタルサインはこれで終了ですが、検温に行けば、その他の情報を得たいものです。
症状や、気になることなどコミュニケーションや患者さんの言動や行動から得られる情報を収集して退出しましょう。
9.退出時は、患者さんの安楽な体位やベッド、ギャッジの高さを整えるようにしましょう。
※注意点として、麻痺や機能障害がある側での測定は禁忌です。