与薬《困ったときの看護技術メモ》
病棟勤務していると、必ずついてくる看護技術が「与薬」ではないでしょうか。
薬を飲んでいない患者さんはそう少なく、入院している患者さんは、何らかの方法で薬を服用しています。口から、管から、点滴から、目や耳からなど、方法や経路は多数あります。
この与薬という看護ケアは、多くのリスクや危険性をはらんでおり、インシデントやアクシデントの要因となるケアです。
確実に、対象の患者さんに正しい方法で投与するためには、どのような注意や心掛け、知識が必要でしょうか。
与薬に関して不安や疑問を抱える新人看護師の方へ正しい方法、安全な方法を説明いたします。
安全で確実な与薬方法
「5R」と言う言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。患者さんに看護を行う上で大切な知識です。
新人看護師の皆さん、こう聞いてすぐに応えることが出来ますか?これが応えられれば、新人看護師としてきちんと学び、信頼できる看護師へ成長できていると言えるでしょう。
●正しい患者
同姓同名の患者さん、似た名前や名字の患者さんなど、病院内には間違いやすい患者さんがいます。その人で正しいですか?と言う気持ちを持って与薬する必要があります。
●正しい薬
似た名称の薬品、似た包装の薬品、似た形の薬品など間違いやすい薬があります。薬自体を間違うと、その薬効や副作用等、身体に悪影響をもたらすことがあり、重大な事故に繋がります。
よって、その薬は本当にその人のものかという疑いを持って準備、与薬する必要があります。
●正しい時間
一日何回ですか、時間薬は有りませんか?
薬によって、投与回数や投与時間に指定がある場合があります。患者さんは、複数の薬剤を内服して言えることが多く、間違わないように一つ一つを確認しなければなりません。
●正しい経路
経口ですか、経腸ですか、経菅ですか、注射薬ですかなどと、投与経路も様々です。
注射一つをとっても、静脈注射、皮下注射、筋肉注射、点滴など方法が多くあります。
ショットで注射してはいけないケースもあります。投与経路の確認は重要です。
●正しい量
指示によりその錠剤の数、注射アンプルの本数など、指定があります。その量が正しいかとチェックを行い、正しく与薬出来なければなりません。
正しく与薬する為に
ミスなく与薬する為には、個人の確認、周囲との確認等、何度も何度の確認作業を行う必要があります。
時に、病棟で準備を行わず薬剤部等が初めの準備を行う事もあります。自分が準備したわけではない為、より「本当に正しいか」と言う目でチェックが必要です。
●チェック体勢の強化
まずは、薬の袋に準備する際にチェックします。この時は、誰かを呼んでダブルチェックしながら薬に間違いが無いかを確認する事も大切です。
そして、準備した薬を保管する際にチェックします。
また、与薬前に保管場所から薬を出す時にチェックします。
そして、与薬直前に、再チェックします。
チェックは、ダブルチェック、トリプルチェックが大切とされています。
何度も行っているからと疎かになりがちですが、毎回初めてな気持ちでチェックする姿勢が大切です。
●疑いの目での確認
本当に間違いが無いかと言う目線が重要です。「大丈夫」と言う気持ちは排除し、「本当に大丈夫?」とチェックするたびにその思いで確認する事が大切です。
慣れてくると、その気持ちが薄くなり、流れの中の確認となることがあります。その気持ちが、事故に繋がります。
●患者さんを巻き込んだ確認
患者さんに、一緒に確認して貰います。名前の確認、投与時間の確認など、セルフケアがいずれ必要となる患者さんですので参加して貰います。
また、認知症や精神疾患の患者さんなどは、リストバンド等で確認を行います。
特に、自分のベッドが分からず他の患者さんのベッドで休んでしまっている認知症患者さんがいたりすることもありますから、ベッドネームでの確認は事故になる危険性もある事を認識しておきましょう。
まとめ
与薬の動作は簡単そうに見えてもかなり大きな危険性がある看護ケアです。一つ間違えば、人に野血を落とすことがあると認識してください。
疑いの目で確認作業を繰り返す姿勢が大切です。
そして、高齢化、認知症高齢者の増加など、本人との確認が困難なケースも出ています。
新人看護師のうちに安全で間違いのない与薬動作を自分の身に染みつけていきましょう。