看護師のスキルアップ資格「救急看護認定看護師」
大規模事故や自然災害はいつ起きてもおかしくはありません。そしてひとたびそのようなことが起きると多数の死者・けが人の発生する可能性が高いです。
大規模事故や災害をニュースで見て、救急隊員などが多数の患者の処置をしている光景を目にしたことはありませんか?
このような惨状の中で大事なのは、トリアージといわれています。症状の深刻な人、今すぐ処置をしないと命の危険にさらされている人を優先的にケアする手法です。
このように多くの人の治療をするためには、適切に状況を把握して、迅速に判断をする能力が必要です。救命救急の現場では、医者を中心とした医療スタッフのチームワークも重要です。
このような救命救急に関する専門的知識を持った看護師の中には、救急看護認定看護師と呼ばれる上級資格を取得している人もいます。
救急看護認定看護師の資格保有者は日本全国に2015年までに1022人います。地域の中核を担っているような病院で勤務しているケースが多いです。
認定審査を受けて合格すれば、救急看護認定看護師の資格を取得できます。認定審査の合格率を見てみると、例年90%以上で推移しています。ただし簡単に取得できるわけではなく、資格取得するためには実務経験と専門教育を受けなければなりません。
救急看護認定看護師の資格取得方法・条件
救急看護認定看護師の認定審査を主催しているのは、日本看護協会です。
受験資格を得るには
受験資格を得るには、看護師として通算5年以上の実務経験が必要です。その中でも3年以上は救命救急分野の実務経験が求められます。
その上で救急看護認定看護師専門課程を受講して、救命救急分野における広範囲の知識やスキルを磨きます。講義スタイルだけでなく、演習や実習による授業も含まれます。
約半年間・615時間以上のカリキュラムを受講します。ちなみに救急看護認定看護師専門課程を実施している教育機関は、東京と愛知、大阪、青森、香川、福岡の6カ所となっています。これ以外の地域の方は、専門課程を受講するため、一時的に引越しをすることになるでしょう。
これだけの条件をすべてクリアできれば、晴れて受験資格が得られます。筆記試験に合格すれば救急看護認定看護師が取得できますが、5年ごとの更新制になっていて、更新審査を受けてクリアしなければなりません。
災害が起きたときの心強い味方
日本はさまざまな自然災害の脅威があります。台風や大雪、地震、最近ではゲリラ豪雨もしばしば耳にします。プラス人間が起こす事故もあり、いつどこで大事故に見舞われるかわかりません。
そんなときに冷静に判断し、適切なケアをする救急看護認定看護師の重要性は高いです。
ニュースでしばしば救急患者がたらいまわしにされるといった報道がなされます。これは救命救急の設備の整っていないことが原因といわれます。
救急看護認定看護師など専門家が多く在籍するような環境が整えば、たらいまわしの憂き目にあう患者の数も少なくなるでしょう。
救急看護認定看護師の資格に興味がある看護師さんへ
救急看護認定看護師の職場を見てみると、救急設備の整っている大学病院や総合病院に勤務するケースがほとんどですね。地域の災害拠点病院に選ばれている医療機関など、地域の中心的役割を担っている病院で活躍しています。
救急看護認定看護師は患者のケアに当たるだけでなく、上級資格を持っていない看護師に対する教育も重要な任務になります。大事故が起きて、多数の患者が担ぎ込まれる事態になれば、救急看護認定看護師だけで対処するのはもはや不可能です。
ヒラの看護師も動員して、ケアしていくことになります。その時彼らに何をすればいいのかを指示するのも、救急看護認定看護師の役割です。
またその他にも災害医療マニュアルを作成するとか、万が一の事態が起きた場合の院内スタッフに対する啓もう活動なども担当します。このように多岐にわたって救命救急と向かい合うのが、救急看護認定看護師の仕事だと思ってくださいね。