看護師のスキルアップ資格「がん化学療法看護認定看護師」
がんは今では決して不治の病ではなくなりつつあります。早期発見できれば、早めに治療してその後も長く元気に生活できる可能性もあります。
がん治療は主に3つのアプローチのいずれかが取られます。手術と放射線治療、化学療法の3つです。このうち化学療法に関する専門的な知識を持ち、患者やその家族のサポートを行う看護師でがん化学療法看護認定看護師の資格を持っている人もいます。
化学療法に関して、素人にはわからないこともたくさんあります。彼らの質問に対してていねいに説明をし、自分たちが今からどのような治療を受けることになるのか、しっかり理解してもらいます。
化学療法は時に強い副作用が出て、患者がつらい思いをするかもしれません。そのようなことに関しても事前に説明をして、患者の納得してもらうのもがん化学療法看護認定看護師の役割です。
2015年までに日本全国に1385人のがん化学療法看護認定看護師の資格保有者がいます。がん治療を行える、それなりの規模の病院で勤務しているケースが多いです。
がん化学療法看護認定看護師の資格取得方法・条件
がん化学療法看護認定看護師になるためには、認定審査に合格する必要があります。
認定審査は日本看護協会が実施しています。筆記試験で一定基準をクリアできれば、がん化学療法看護認定看護師の資格が与えられます。
受験資格を得るまで
日本に何カ所かがん化学療法看護認定看護師専門課程を受講できる教育機関があります。こちらで所定のカリキュラムを修了すると、がん化学療法看護認定看護師の認定審査の受験資格が得られます。修了するまで、半年程度かかると思ってください。
ただしがん化学療法看護認定看護師専門課程は、だれでも受講できるプログラムではありません。看護師として通算5年以上の実務経験、プラスそのうち3年以上はがん化学療法の患者に対する看護の実務経験でないといけません。
化学療法の治療薬の投薬管理で、5人以上の患者の実績を持っていないと先ほど紹介した専門課程で勉強することはできません。
このようにいろいろなハードルをクリアする必要があります。がん化学療法の実務経験と専門的な知識を勉強した人が受験しますから、合格率は例年90%台で推移しています。ただし決して簡単な道のりではないと思いましょう。
化学療法の存在感は増している
がんは日本人にとって、一種の国民病になりつつあります。男性では半分くらい、女性も3人に1人くらいの割合で生涯1度はがんにかかるといわれています。
ただしがんの治療法もどんどん進化しています。がんの治療といわれると、手術でがん部分を切除するイメージを持つ人も多いでしょう。しかし手術だと、患者の体力が必要以上に消耗してしまいます。高齢者の患者には厳しいケースも出てきます。
しかし最近では放射線治療や化学療法も進化していて、メスを入れずに治療できる可能性も出てきています。化学療法というとひどい副作用が起きるとイメージしている人もいますが、最近では副作用の起こりにくい薬も出てきています。
その専門的知識を持ったがん化学療法看護認定看護師への需要も、今後さらに高まるとみられています。
がん化学療法看護認定看護師の資格に興味がある看護師さんへ
がんに特化した専門的知識・スキルを持ったがん化学療法看護認定看護師は、やっぱりがん治療のできるような設備の整った病院に勤務しているケースが多いですね。
総合病院や大学病院、がんセンターといったところで勤務している人がほとんどです。外来と病棟で見てみるとほぼ同じ、やや外来勤務している人が多いかなという印象がありますね。
がん化学療法看護認定看護師になるためには、がんに関する広範囲の知識が必要ですよ。たとえば腫瘍学全般の専門的な知識が必要ですし、がん患者に対する看護のスキルも求められます。
さらにヘルスアセスメントといって、がん患者の状態を的確に把握する観察眼も求められます。がん患者と長年向き合ってきた看護師こそ、がん化学療法看護認定看護師を取得しておきたいですね。