看護師のスキルアップ資格「認知症看護認定看護師」
認知症看護認定看護師とは、認知症のメカニズムやどのようにして進行していくかといった専門的知識を持った看護師として、認知症患者のケアを行う人たちに与えられる看護師の上級資格です。
認知症にかかっているといっても、尊厳ある人間であることに違いはありません。彼らの代弁者として、生命だけでなくライフクォリティを維持するための役割を担うことになります。
また認知症患者に家族のいる場合、日常の看護は家族が担当しているケースが多いでしょう。認知症患者とはうまくコミュニケーションのとれないことも考えられますから、どのように接したりサポートしたりすればいいかについて、専門家の観点からいろいろとアドバイスを行います。
その他にも認知症の介護を行っている家族は、日々いろいろな悩みや葛藤を抱えるケースも多いです。そこで介護をしている家族の悩みを聞き、相談に乗ることも認知症看護認定看護師に求められる役割といえます。
認知症看護認定看護師の資格を保有している人は日本全国に、657名います。病院勤務をしている人の他にも、ショートステイのような介護施設で活躍している有資格者も見られます。
認知症看護認定看護師になるためには、認定審査を受けて合格する必要はあります。合格率は毎年90%以上で推移しています。しかしこれは試験が簡単というのではなく、受験資格を得るためのハードルが高くて、能力のある看護師しか受験できないからというのが大きいです。決して簡単に取得できる資格ではないと思いましょう。
認知症看護認定看護師の資格取得方法・条件
認知症看護認定看護師の認定は、公益社団法人の日本看護協会が担当しています。認定看護師の他にも、専門看護師といった上級資格の認定審査を実施しています。
受験資格を得るには
認知症看護認定看護師の受験資格を得るためには、看護師免許を取得してから5年以上の実務経験を有していることです。その中でも3年以上は認知症看護分野における実務経験でないといけません。
3年以上の認知症看護分野における実務経験といわれると、具体的にどうなれば条件をクリアできるかわからないという人もいるでしょう。
具体的には、「認知症患者の多い医療機関もしくは在宅ケアを含めた福祉施設で3年以上勤務していること」「5例以上の認知症患者に対する看護実績を有していること」になります。
この条件を満たした看護師は、認定看護師教育機関で所定のカリキュラムを615時間以上履修します。カリキュラム修了するまで半年くらいかかると思ってください。
ここまで来て認定審査の受験資格が得られ、合格すれば認知症看護認定看護師として認定されます。認知症看護認定看護師として認定された後も、5年ごとに更新審査を受ける必要があります。
認知症患者は将来的に800万人に達する可能性も
高齢化社会がどんどん進んでいく日本で、高齢者の介護をどうするかという問題があります。現在認知症を患っている高齢者は、450万人程度いるといわれています。ちなみにその予備軍までも含めると、65歳以上の高齢者の4人に1人は認知症になるといわれているほど切実な問題です。
2025年には高齢者はピークに達するといわれています。その時の高齢者の人数は、3500万人程度になると予想されています。4人に1人認知症になると仮定すれば、800万人以上に上る計算となります。
このような状況下で認知症看護認定看護師が果たす役割は、今後ますます大きくなってくることでしょう。
認知症看護認定看護師の資格に興味がある看護師さんへ
認知症看護認定看護師の資格を持っている人で、8割くらいは病院で勤務しているみたいですね。そして1割程度は介護施設で活躍しているみたいですよ。
介護施設における認知症看護認定看護師への需要は今後高まってくるかもしれませんね。療養型の老人介護センターとか自宅療養している人のための在宅介護サービスなどです。
認知症患者の方が安心して生活できるような環境を整えることが、認知症看護認定看護師の役割です。心理状態なども見ながら、その人にあったオーダーメイド看護が必要です。