看護師のスキルアップ資格「訪問看護認定看護師」
高齢化が進むにあたって、慢性的な症状の患者は入院ではなく、自宅療養するケースも今後増えると予想されています。また高齢者になると障碍などの影響で、通院することが困難なケースも出てくるでしょう。そこで自宅療養している患者を訪問して、看護ケアをする必要が出てきます。
訪問看護認定看護師はまさに、この訪問看護分野で専門性の高い知識やスキルを持った人に与えられる資格になります。訪問看護の場合、通常の看護業務はもちろんのこと、病院と地域の連携をスムーズにするための連絡調整役も担う必要があります。さらに訪問看護認定看護師の資格を持っていないナースに対して、患者に適切な看護ケアをするための指導なども行います。
2015年までに日本全国に、訪問看護認定看護師の資格を持っている人は500人います。病院の他にも、訪問看護ステーションなどで勤務している人が多いです。
訪問看護認定看護師になるには、認定審査に合格する必要があります。認定審査を受けるための条件が厳しいのですが、これをクリアすれば合格率は毎年90%前後で推移していますから、資格取得の可能性はかなり高いといえます。
訪問看護認定看護師の資格取得方法・条件
訪問看護認定看護師の認定審査を実施しているのは、日本看護協会です。いくつかの専門分野における認定看護師や専門看護師といった、通常のナースよりも上級資格の認定をしています。
受験資格を得るまで
訪問看護認定看護師の受験資格を得るためには、看護師免許を取得してから、少なくても通算5年以上の実務経験が必要です。しかもその中の3年以上は、訪問看護分野における実務経験が求められます。
これらの条件を満たしている看護師で訪問看護認定看護師の資格を希望するのであれば、訪問看護認定看護師の養成課程のある教育機関で、6か月のカリキュラムを修了する必要があります。
ちなみに訪問看護認定看護師の教育課程を用意している主な教育機関を見てみると、聖路加看護大学や日本訪問看護振興財団、兵庫県看護協会といったところがあります。ちなみに教育課程を受講するときに、仕事との両立は不可能です。いったん仕事を休む形になりますので、この時の取り扱いに関しては勤務先と事前に協議しておいた方が安心です。
教育課程に関してですが、訪問看護概論や在宅ケアシステムなどの専門科目の履修の他にも、在宅医療管理技術やフィジカルアセスメントなどの実習なども含まれます。実際に訪問看護認定看護師の資格を生かして今後活動するために必要な知識やスキルが学べます。
高齢化の中で増すニーズ
訪問看護のケアの対象になる患者として、高齢者や障碍者のような通院が困難な人がいます。高齢化が進む現在、自宅療養をしている患者も増加してきています。訪問看護ステーションも日本全国に作られている所から見ても、訪問看護認定看護師の需要は今後ますます高まることが予想できます。
訪問看護認定看護師の資格ですが、取得したらそこでおしまいというわけではありません。5年ごとに資格更新の手続きをする必要があるのですが、この時審査が実施されます。
このため、資格取得後も一定レベルの知識やスキルを維持する必要があります。更新があるからだけでなく、在宅用の医療機器もどんどん進化していて、かつ操作も複雑になっています。その意味でも常に資格取得後も勉強する姿勢を失わないようにすることが求められます。
訪問看護認定看護師の資格に興味がある看護師さんへ
訪問看護認定看護師の資格取得している人を見てみると、総合病院や訪問看護ステーションといったところで活躍している人が多いですね。
その他にも長期療養型の医療機関や診療所、特別養護老人ホームのような介護関係の施設でも需要が徐々に高まってきています。
訪問看護認定看護師として活動するためには、内科全般の知識が必要だと思ってください。訪問先の患者の疾患は人それぞれだからです。心臓や呼吸器系、糖尿病などの知識も必要ですから、資格取得後も勉強を常にしないといけないと思っておきましょう。