看護師のスキルアップ資格「脳卒中リハビリテーション看護認定看護師」
脳卒中という病気は、一命を取り留めた後でいろいろな後遺症が出る可能性があります。機能障害の程度によっては、自力で日常生活を送れなくなることも十分想定できます。
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師は、このような介護が必要な患者のQOLを少しでも向上させるために、優れた専門性のある看護活動のできるナースに与えられる上級資格になります。現在残されている機能をできるだけ維持する、失われた機能を取り戻すことで、生活の再構築を促していきます。
リハビリは、看護師の他にもいろいろなスタッフがプログラムに関わってきます。チーム医療の他にも自宅療養する場合には、地域連携も深めていく必要があります。このような複数の人たちの関わる医療の中心として、意見調整をしていくコミュニケーション能力も求められます。
現在、日本全国に約600名の脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の資格保有者がいます。脳外科のある総合病院やリハビリセンターで勤務している人が多いです。
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の認定審査は年に1回実施されます。合格率は90%台で例年推移していますが、これは受験資格を得るまでの条件が高く、選抜した人しか受験できないことが関係しています。決して難易度が低いわけではありません。
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の資格取得方法・条件
日本看護協会が資格認定を実施しています。
認定審査を受けるには
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の認定審査を受けるためには、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師教育機関で615時間以上のカリキュラムを修了する必要があります。期間としては、6か月だと思ってください。
この教育を受けるためには条件があって、看護師免許を取得して通算5年以上の実務経験を有していることです。そしてそのうち3年以上は脳卒中リハビリテーション看護分野における実務経験が必要になります。
後者の条件を満たすためには、5例以上の脳血管障害患者の看護を行っていることです。ですから脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の資格を将来的に取得したいと思っているのであれば、脳血管障害の多い病院で勤務した方が良いでしょう。
教育課程が修了したところで、認定審査を受けます。そして合格になれば、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師認定証が交付されます。ただし資格は5年に一回更新審査がありますから、一定レベル以上のスキルや知識を維持し続けないといけません。
死亡原因になる可能性が高い脳卒中
がんや心疾患、肺炎に続き脳卒中は日本人の死因で多い病気です。医療が進歩することで、一命を取り留めるケースは増えています。しかし後遺症が残り、リハビリを必要とする患者が増えているのも事実です。
最近の傾向を見てみると、高齢化が進んで高齢者の患者が多くなっています。その一方で、生活習慣の問題でしょうか、働き盛りの若い世代でも脳卒中を発症するケースも増加しているといわれています。つまり幅広い患者のサポートを行っていく必要があるわけです。
その意味では専門性の高い看護活動のできる脳卒中リハビリテーション看護認定看護師への需要はますます高まるでしょう。実際の看護活動だけでなく、後輩看護師の指導やアドバイスでも重要な役割が求められるはずです。
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の資格に興味がある看護師さんへ
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の資格を持っている看護師の大半は、病院で勤務していますね。その中でもやはり多いのは入院患者の世話をする病棟です。他には1/5程度はICUやCCUのような救急施設で勤務しています。
脳卒中が発症した当初は、とにかく迅速な処置が必要になります。臨床観察を続け、重症化を防ぐためにどのようなケアをすべきなのかを的確に判断しないといけません。
急性期を脱した患者に対しては、生活再構築のプロセスについて検討する必要があります。その意味では、その人の今後のライフプランの構築を行う能力も必要で、通常の看護師とはまた違ったスキルや能力が要求されると思ってくださいね。