看護師のスキルアップ資格「糖尿病看護認定看護師」
生活習慣病という言葉が世間一般でも広く知られるようになりました。生活習慣病の中でも、年々増加傾向にあるといわれるのが糖尿病です。糖尿病の厄介な所は、発症してもなかなか自覚症状の出ない点です。
しかも症状が進んでしまうと、合併症と言って他にもいろいろな症状を引き起こす可能性が高まります。結果日常生活を自力で送るのが困難になりますし、最悪の場合、死に至ることも十分考えられます。
糖尿病はひとたび発症してしまうと、完治するのは難しいといわれています。病気と一生付き合わないといけなくなり、患者や家族、医療スタッフも長期戦を視野に入れてケアや対策を講じないといけません。
このような糖尿病患者のケアを行うにあたって、専門的な知識やスキルを持っていると認定されたナースが糖尿病看護認定看護師です。日本含め、世界中で糖尿病に罹患する人は増えています。ですから、今後ますます需要の高まる資格と見られています。
糖尿病看護認定看護師の資格保有者数は、日本全国に2015年9月時点で775名います。病院に勤務している人が多いですが、糖尿病外来を設けているクリニックでも勤務している人も見られます。
糖尿病看護認定看護師になるためには、認定審査を受ける必要があります。認定審査の合格率ですが、90%以上で推移しています。ただし試験が簡単なわけではなく、受験資格を厳しく設定して、厳選された人材しか審査を受けられないため、合格率が高いといった方が正しいです。
糖尿病看護認定看護師の資格取得方法・条件
日本看護協会が認定審査を実施し、資格認定を行っています。年に1回のペースで審査を開催しています。
資格認定を受けるには
看護師資格を取得してから、3年以上糖尿病患者の多くいる病棟もしくは外来で勤務する必要があります。うち5例以上インスリン両方の必要な患者もしくは、糖尿病原因による合併症を発症している患者の看護を担当した実績が必要です。
現役で糖尿病患者の多い所で勤務していた方が、最新の知識やスキルも身についている可能性が高く、認定審査を合格するには有利に働きます。
その上で、看護協会指定の教育機関で糖尿病看護認定看護師専門の教育課程を半年履修します。すると認定審査の受験資格が得られ、審査に合格できれば、糖尿病看護認定看護師になるわけです。
糖尿病患者は増加傾向
糖尿病に罹患する人は年々増加傾向にあります。日本人の食生活が欧米化したことで、脂質や糖分を多く摂取するライフスタイルになったことが大きく関係しています。
冒頭で紹介したように、糖尿病は完治が難しいです。そして生活習慣病のため、自分の日常生活の見直しをし、規則正しい生活を身につける必要があります。
糖尿病はほかの病気と違って、入院して手術で治療するとか、薬を飲んで治療するのが主ではありません。食事療法や運動療法といった生活習慣の見直しによる治療が中心です。このため、一時的に入院することはあっても、ほとんどの患者は通院して治療を受けています。
つまり自己管理がきちんとできているかどうかが、糖尿病の治療を左右するといっても良いでしょう。その意味では患者と接する機会の多い看護師が糖尿病に関する専門知識を持っていることは大事なのです。
糖尿病看護認定看護師であれば、患者に対して日常生活で気を付けるべきことなども詳しく指導できます。このため、高いニーズがあるわけです。
糖尿病看護認定看護師の資格に興味がある看護師さんへ
総合病院や大学病院の他にも、糖尿病外来を設置している医療機関で糖尿病看護認定看護師を積極的に採用しているみたいですね。年齢を重ねると糖尿病に罹患する人も増えますので、今後はもしかすると介護施設の募集も増えてくるかもしれませんよ。
糖尿病看護認定看護師で糖尿病患者のケアをするのは、病気のケアだけでなく、日常生活の管理も含まれます。
相手の患者の心理状態や体の特性、生活パターンなどを理解した上でどのようなケアをするのがベストなのか、オーダーメイドの看護が必要になると思ってくださいね。