看護師のスキルアップ資格「慢性心不全看護認定看護師」
慢性心不全看護認定看護師は文字通り慢性心不全を患っている患者に対して、これ以上の症状悪化の回避や予防のための専門的なケアを行うナースをさします。
慢性心不全は処置が遅れると命にかかわるような重大な病気です。そこで心不全を起こすリスクの高いパターンをモニタリングすることで把握します。そのような状態が起きないように、それぞれの患者に遭った生活習慣の見直しの指導を実施します。
慢性心不全の患者の中には、自宅療養をするケースも多いです。この場合食事の管理や服薬などの自分でできるケアの指導も行います。家族が看護する場合には、家族にわかりやすく、日常生活における注意点をレクチャーします。
心不全患者をケアする人の中には、認定看護師資格を持たないナースももちろんいます。彼らの看護スキルを向上するために、看護師への指導も担当します。
2015年現在、日本全国に慢性心不全看護認定看護師の資格を持っている人が238名います。総合病院や大学病院のような、設備の整った医療機関で勤務するケースが多いです。
慢性心不全看護認定看護師になるためには後述しますが、受験資格を満たしたうえで認定審査を受けます。慢性心不全看護認定看護師初の認定審査では60名の看護師が受験していますが、全員合格しています。
以後も合格率は高く推移していますが、これは受験資格が厳しく、選り抜きのナースだけが受験しているからであって、決して難易度が低いわけではありません。
慢性疾患看護専門看護師の資格取得方法・条件
慢性心不全看護認定看護師の認定審査は、公益社団法人の日本看護協会が実施しています。地域包括ケアシステムの基盤を作るなど、より良い看護サービスの提供を目的にして活動をしています。
受験資格を得るには
慢性心不全看護認定看護師の受験資格を得るためには、慢性心不全分野における実務経験が必要になります。看護師免許を取得してからそれぞれ通算5年以上の実務経験、その中の3年以上は慢性心不全看護の実務経験が必要になります。
その上で、慢性心不全看護認定看護師の専門課程を受講する必要があります。カリキュラムは615時間以上となっていて、半年は勉強の期間に充てる必要があります。病院で勤務している場合、いったん学習のため、職場を離れる形になると思いましょう。カリキュラムを修了すれば、受験資格を得られます。
試験内容について
慢性心不全看護認定看護師の認定試験は、慢性心不全に関する問題がマークシート方式で出題されます。一定点数以上を取得すれば、資格が得られます。ただし5年に1度の更新があり、そこでも審査が行われるため、一定レベル以上を資格取得後も維持する必要があります。
高齢化の中で増す重要性
高齢化社会が進んでいる現在、それに向けた医療サービスの整備も進められています。慢性心不全は年齢別に見れば、高齢者で罹患する人も多い病気です。ということは今後高齢者の占める割合がどんどん増えてくる中で、ますますその重要度は高まるとみられています。
慢性心不全は糖尿病や高血圧、急性心筋梗塞と密接な関係があるといわれています。その意味では関連する病気に関する知識をしっかり頭に入れておくことが、資格取得の一助になるだけでなく、実際の看護現場でも生かせると考えましょう。
慢性疾患看護専門看護師の資格に興味がある看護師さんへ
慢性心不全看護認定看護師の資格を取得している人を見てみると、循環器科や循環器内科のある病院で勤務している人が多いですね。その他に一部資格取得者の中には、循環器センターや成人病センターのような特化した医療施設で勤務している人もいます。
先ほども紹介したように、高齢者で罹患する人の多い病気です。このため、今後は高齢者施設でも慢性心不全看護認定看護師の資格を持ったナースの需要は高まってくるかもしれませんね。
食事療法や運動療法など、それぞれの患者の体力などを見て、体に無理の内容なアドバイスをすることが求められる仕事ですよ。高齢者の健康維持のための利子肝勉強しておいてくださいね。