看護師のスキルアップ資格「がん放射線療法看護認定看護師」
がん治療にあたって、手術による治療や化学療法とともにしばしば用いられるのが、放射線療法です。
放射線療法を受ける患者やその家族に対して、どのように治療を施すのかなどを説明して、スムーズに治療を受けられるような環境づくりをする看護師が、がん放射線療法看護認定看護師です。
放射線療法を初めて受ける人の中には、不安や苦痛を感じる人もいるでしょう。そのような人に対してていねいに説明をして、リラックスした状態で治療を受けてもらうための環境を整備します。その他にも通院で放射線治療を受けるケースもあるでしょう。
その場合、副作用などによる日常生活への支障に関する対処法などの相談に乗るのもがん放射線療法看護認定看護師の役割の一つです。
放射線療法は、どうしても長期戦となる傾向があります。「いつまでこの治療を受けなければならないのか?」「がんの再発や転移はないか?などの不安をどうしても患者やその家族は抱えがちです。そのような患者たちの気持ちに寄り添ってケアすることが、がん放射線療法看護認定看護師の任務といえます。
がん放射線療法看護認定看護師の資格保有者は2015年までに日本全国に約200名います。がん治療が主な担当分野ですから、総合病院や大学病院のような大規模病院勤務しているケースが多いです。
がん放射線療法看護認定看護師になるためには認定審査を受ける必要があります。認定審査の合格率を見てみると、年々9割程度で推移しています。しかしこれは高いレベルの教育を受けないと受験資格が得られないからで、決して簡単な資格ではありません。
がん放射線療法看護認定看護師の資格取得方法・条件
日本看護協会が認定審査を実施しています。
受験資格を得るには
看護師免許を持っていて、通算で5年以上の実務経験を有していて、その中の3年以上はがん放射線療法看護に関する実務経験を積んでいることが前提条件となります。
その上でがん放射線療法看護認定看護師養育期間がありますから、そこで専門課程のカリキュラムを受講します。615時間以上のプログラムで、終了するまで半年程度かかると思っておきましょう。
そして認定審査を受けて合格すれば、がん放射線療法看護認定看護師の交付が受けられます。
資格の更新が必要
がん放射線療法看護認定看護師はひとたび取得すれば、ずっと有効な資格ではありません。5年ごとに資格更新をする必要があります。この時更新審査が実施され、これに合格しないと資格が失効してしまいます。
5年間の中で2000時間以上の看護実績があるとか、学会や研究会に参加・発表していることが条件です。それで制度委員会が更新を認可した場合、引き続きがん放射線療法看護認定看護師として活躍できます。
がん治療進歩の中で重要な役割を担う
少し前まではがんといえば不治の病というイメージが定着していましたが、今ではかなりがん治療も進化しています。生存率もアップしていますし、以前であれば手術せざるを得なかったがんでも化学療法や放射線治療を使って治すことも可能になってきています。
手術はどうしても体力の消耗が激しいので、特に高齢の患者には難しいです。放射線療法で治療できるのであれば、治療した方が良いわけですから、今後ますます使われる頻度は高まるでしょう。その意味ではがん放射線療法看護認定看護師の活躍するチャンスも広がるといえます。
がん放射線療法看護認定看護師の求人募集もしばしば見受けられます。その中には、好条件の募集もしばしば見られます。待遇改善で転職を希望する人は、チェックしてみる価値は十分あるでしょう。
がん放射線療法看護認定看護師の資格に興味がある看護師さんへ
がん放射線療法看護認定看護師という特定の病気に特化した認定看護師ですから、がん治療を行っている病院が職場になりますね。放射線療法をやっている病院となるとそれなりの大規模病院、がんセンター、成人病センターなどが候補になります。
一般の人が「がんにかかっているといわれる」とどうしても不安になります。死が目の前に来たような感じがしますからね。そこでその不安や恐怖を和らげるためにも、がん放射線療法看護認定看護師の存在はますます大きくなってくるでしょう。