看護師のスキルアップ資格「がん性疼痛看護認定看護師」
がんに罹患すると、痛みなどの症状で患者が苦しめられることもあります。この苦痛をいかにして緩和するかも、医療にとって重要なポイントです。
がん性疼痛看護認定看護師は、がん性疼痛の緩和に関して専門的な知識やスキルを持ったナースに認定される資格になります。
自身のスキルはもちろんのこと、他にもいる医療スタッフといかに連携してケアをしていくかも重要なポイントです。
がん性疼痛看護認定看護師は、他の一般看護師に対する監督や指導も重要な任務の一つになります。そうすることで、全体的に質の高い看護サービスを提供できるようになります。またがん看護で悩みを持つ看護師の相談に乗ることで、情報の共有を図ることも大事です。
がん性疼痛看護認定看護師の資格保有者ですが、2015年時点で日本全国に769人います。大規模病院やがんセンターのようなガンを専門的に治療する医療機関に在籍して活躍しています。
がん性疼痛看護認定看護師は認定審査を受けて、一定以上の点数を獲得すれば資格取得できます。認定審査の難易度ですが、合格率が例年90%前後で推移しています。
ただし認定審査受験資格を得るまでにいくつかのハードルをクリアしなければならず、決して簡単に取得できる資格ではないと思いましょう。
がん性疼痛看護認定看護師の資格取得方法・条件
がん性疼痛看護認定看護師は、日本看護協会で認定審査・資格の発行を実施しています。5年に1度更新義務を資格保有者に課すことで、一定の技術・知識レベルを維持するように努めています。
認定審査を受けるまで
認定審査を受けるためには、看護師として5年以上の実務経験を持っていることが条件となります。そのうち3年以上はがん性疼痛看護の分野での実務経験を有していないといけません。
その上で、がん性疼痛看護認定看護師養成講座を受講する必要があります。がん性疼痛看護認定看護師養成講座を実施している教育機関は、認定看護師の分野の中でもかなり少ないです。年度によって休講しているような教育機関もあり、そうなると受講できる範囲がかなり狭まります。
養成課程を受講する場合、授業は平日の昼間に実施されます。しかもカリキュラムは6か月以上です。そうなると仕事との両立はほぼ不可能なので、休職するなどの対応が求められます。カリキュラムを修了すれば認定審査の受験資格を得られ、合格すれば資格取得できます。
がん治療は進化するも…
一昔前までは、がんと言われると不治の病というイメージがありました。未だに末期がんなど、なかなか治療の難しいものもあります。しかし治療技術が進化したことで、がんに罹患してもその後長く生存できる患者も増えています。
しかしこれまでのがん治療というと、がんそのものを小さくする・消すにはどうすればいいかといったことに重点が置かれました。しかしがんに罹患すると、仕事の問題や家族の問題などいろいろと対処すべき課題が出てきます。そのようなケアに関しては、あまりケアできていないところがありました。
がん性疼痛看護認定看護師は、がんを治療するというよりもがん患者やその家族と寄り添い、どうやって少しでも苦痛のない穏やかな生活をしながら治療をすればいいのか、メンタル面でのケアをする役割を担っています。
「病は気から」とよく言いますが、がんに罹患したことによって生じるもろもろの不安を解消すれば、治療の効果もより大きく出るかもしれません。その意味でも、がん性疼痛看護認定看護師の果たす役割は今後どんどん大きくなっていくと見込まれます。
がん性疼痛看護認定看護師の資格に興味がある看護師さんへ
先ほども紹介したように、がん性疼痛看護認定看護師の認定審査を受けるためには、養成機関で教育を受けないといけません。6か月以上のカリキュラムを受けるにあたって授業料や当面の生活費も考える必要があります。
また地域によっては、通学圏内に養成機関のない場合も想定できます。その場合には、養成機関のある所に引っ越さないといけないケースもありますから、前もっていろいろなことを検討しておいた方が良いと思いますよ。