看護師のスキルアップ資格「精神看護専門看護師」
精神的な疾患を抱えている患者の場合、精神的に不安定になって予測のしえない言動を見せることがあります。
このような患者やその家族とコミュニケーションをとって、ケアできる専門的な知識やスキルを持った看護師のことを精神看護専門看護師と言います。
精神看護専門看護師の資格を持っている人は患者や家族のケアだけでなく、看護師の育成などにも関わります。精神科の経験のまだ豊富でない看護師の中には、どのように患者と向き合えばいいのかわからないといった悩みを抱えるケースもあります。
このような看護師に対して、専門知識を駆使してアドバイスを行います。その他にも精神科の患者には医療や福祉のスタッフが複数関わることが多いですから、その間に入って意見調整を行う役割もあります。
精神看護専門看護師の資格を保有している人は、2015年の時点で日本全国に207名います。精神看護専門看護師の合格率は高い数値で推移しています。
ただし受験をするためには厳しい条件が設定されていますから、誰でも簡単になれるわけではないことも理解しておきましょう。
精神看護専門看護師の資格取得方法・条件
日本看護協会が専門看護師認定試験を実施して認定しています。
受験するには
まず看護師免許を取得している人が対象で、免許を取得してから5年以上の実務経験を有していることが条件です。しかもそのうち3年以上は精神病院や精神科病棟の勤務経験を有していないといけません。
常勤・非常勤は関係ないですし、在宅ケアでの勤務も実務経験としてカウントできます。
その他には実務研修として、以下の看護実績報告書を作成して提出する必要があります。
・2例の直接的な看護活動
・1例のケア提供者に対するコンサルテーション
・1例のケアをスムーズに行うための保険医療福祉に関係するコーディネーション
・1例の看護師教育活動
その上で、日本看護系大学協議会専門看護師教育課程基準で認められているカリキュラムを修了し、論文作成すると受験資格が与えられます。
審査内容
書類審査と筆記試験が実施されます。書類審査ではそれまでの実務経験や実績報告書の内容が考査されます。筆記試験は、200満点中140点以上獲得する必要があります。
ますます重要になる心のケア
一昔前までは、精神病というとかなり特殊なケースというイメージが持たれていました。しかしうつ病をはじめとして、精神疾患がかなり世間一般に浸透したこともあって、通院する人も増えています。
特に最近はストレス社会と言われていて、普通に働いている人でも心のコンディションを崩しているケースも多いです。このため、心のケアが必要な人も増えています。
他の看護活動とは異なり、心のケアをするためアプローチも変わってきます。ですから専門的なノウハウを持っている精神看護専門看護師への需要は高まるとみられています。
医療現場の世界では、専門的なスキルを持った看護師が慢性的に不足しています。このため、今後精神科で仕事のできる人材を育成することが急務と言われています。
精神看護専門看護師の資格に興味がある看護師さんへ
精神看護専門看護師の活躍できる職場は文字通り、精神科のある病院やクリニックになります。都内では診療クリニックなども多くあって、こちらで勤務している看護師もいます。その他にも一般病院で勤務している人もいます。
患者さんの中には長期の入院で、「退院できるのか?」といった不安を抱える人もいて、そのような患者さんのケアを行うわけです。
さらに福祉施設や介護施設でも活躍している人もいます。特に高齢化が進んでいる現在、介護施設でのニーズは高まるかもしれませんね。
精神看護専門看護師と高齢者施設がリンクしないという人もいるでしょう。しかし高齢者の中でもうつ病や老年期精神障害など、精神疾患で悩む高齢者も増えています。
患者の中には、なかなか看護師に対して心を開いてくれない人もいます。しかしそれでも辛抱強く話を聞く姿勢をする忍耐強さが必要になる分野です。