看護師のスキルアップ資格「登録産業看護師」
産業看護師と言って、一般企業の医務室や健康管理室などで勤務する看護師も増えてきています。通常の病院やクリニックの看護とは違って、産業看護のスキルが必要になります。
この産業看護の専門的な知識やスキルを持っていることを証明する資格として、登録産業看護師があります。
ちなみに登録産業看護師の資格を取得していなくても、産業看護師にはなれます。ただしすでに産業看護師として活躍している人の中には、キャリアアップやスキルアップを目指して、資格取得するケースも見られます。
より本格的に産業看護師として今後、活躍していきたいと思っているなら、取得しておいて損はない資格と言って良いでしょう。
平成26年12月時点で、登録産業看護師の数は1856名を数えます。こちらの資格ですが、一般的な資格のような認定試験はありません。以下で詳しく紹介しますが、一定の基準をクリアしている人であれば資格取得が可能です。
登録産業看護師の資格取得方法・条件
登録産業看護師の登録先は、産業看護部会というところです。この看護部会は、日本産業衛生学会の中に設けられています。
看護師資格を持っている人で、産業看護に関連する2年以上の実務経験のある人が対象です。そして登録産業看護師の資格を取得するためには、第一種衛生管理者の資格が必須となります。資格を持っていない人は、まずこちらの資格を取得しましょう。
その上で、産業看護講座Nコースと産業看護講座基礎コースの2つのカリキュラムをすべて修了します。そして登録申請をすれば、登録産業看護師になれます。
登録産業看護師は5年に1度の割合で、更新手続きをしなければなりません。更新するためには、産業看護職継続教育システムの中で、20単位以上を取得する必要があります。
つまり登録産業看護師になってからも、定期的に勉学にいそしむ必要があるわけです。ただし今後システムの見直しも視野に入れられているようなので、もしかすると基本的なシステムが抜本的に変えられる可能性もあります。
産業看護師の重要性は増している
産業看護師の役割は、日に日に増している印象があります。会社にとって従業員は大切な企業資産の一つです。
従業員がいつまでも健康的に勤務できる、最高のパフォーマンスを発揮できるような職場環境を整えることができれば、それが会社の業績アップにつながる可能性は十分あります。
また企業が従業員の健康管理をしっかり行っていることは、PR効果も期待できます。「あの会社は管理が行き届いている」といったような好意的なイメージにつながって、ブランド価値を上げる要因にもなりえます。このようなことで、大企業を中心として産業看護師の採用に積極的な所も増えています。
常時50人以上の従業員が勤務している事業場では、衛生管理者を設置することが法律上義務付けられています。その意味では企業活動がなくならない限り、産業看護師の需要はなくならないでしょう。
ただし産業看護師の仕事を希望する看護師も多いため、募集が出ても応募者の殺到する可能性があります。産業看護師として転職する際などに、ライバルに勝利しよりよい職を得るためにも、登録産業看護師のような関連する資格を取得しておいた方が良いでしょう。
登録産業看護師の資格に興味がある看護師さんへ
上で紹介したように、もともと産業看護師としての実務経験を持っている人が取得できる資格が、登録産業看護師です。このため産業看護師として、よりスペシャリスト的なスキルや知識を獲得するために資格取得を目指す人が多いです。
産業看護師の業務は多種多様です。日常の従業員のいろいろな健康関連の相談もあれば、職場の労働環境や安全性のチェック、労働量のバランスが適正かどうかの監視もしなければなりません。
また専門家として、よりよい職場環境を作るために会社に改善の提言を行うこともあります。定期検診の企画や実施も、産業看護師の役割です。
このようないろいろな仕事をスムーズにこなすスキルを獲得するためには、登録産業看護師になるのも良いかもしれませんよ。