看護師のスキルアップ資格「心臓リハビリテーション指導士」
心筋梗塞や狭心症、心不全などの心疾患を発症して、心臓手術などを受けた後リハビリが必要な患者もいます。また心疾患の発症を予防するためには、運動療法や食事療法が効果的です。
このような心臓関係のリハビリの専門家として、心臓リハビリテーション指導士という資格があります。
心臓リハビリテーション指導士の資格を持っている人は、運動療法や食事療法だけでなく、精神面のケアができるなど包括的な能力を持っていないといけません。専門的な知識やスキルを持っているだけでなく、他の医療スタッフと協力してリハビリに当たるコミュニケーション能力が要求されます。
看護師が心臓リハビリテーション指導士の資格を持っていると、心臓関係の医療チームの核となって仕事ができます。また患者や家族に対して詳しい説明やケアまでも行えるため、病院にとっても貴重な戦力になるでしょう。
心臓リハビリテーション指導士の資格保有者は、2014年までに3056名日本全国にいます。合格率を見ると例年60~70%台で推移しています。勉強をして受験すれば、合格できる可能性は十分あります。
心臓リハビリテーション指導士の資格取得方法・条件
日本心臓リハビリテーション学会という特定非営利法人が、資格の認定を実施しています。
受験資格を得るには
まず、以下のいずれかの医療関係の資格を持っていることが前提条件となります。
・医師
・看護師
・理学療法士
・管理栄養士
・薬剤師
・臨床心理士
・作業療法士
・健康運動指導士
その上で心臓リハビリテーション指導士認定制度委員会が主催する講習会を受けます。また、申請するときに心臓リハビリテーション学会の会員で、2年以上通算で会員歴があることも条件となります。
心臓リハビリテーション指導の実地経験が1年以上、もしくは心臓リハビリ研修制度に基づく受験資格認定証の交付を受けていることが条件となります。
申請するときには、症例報告を添付する必要があります。少なくても10例以上の症例報告が義務付けられます。
試験概要
まず申請書類に関する審査が実施され、クリアすれば受験票が交付されます。まず講習を受講して、その上で筆記試験を受ける形になります。
筆記試験は5者択一のマークシート方式で、50問出題されます。試験時間は60分で、60点以上得点を獲得できれば合格です。
予防から処置まで幅広い分野で活動
心臓リハビリテーション指導士の資格制度は2000年から認定制度が始まっているため、医療関連の資格としては比較的新しいです。しかし重要度の高い資格であることは業界でも広く認識されていて、資格取得を希望する人も増えています。
看護師が心臓リハビリテーション指導士の資格を持っていると大きいです。看護師は医療チーム間の調整役があります。
心疾患を抱えている患者の場合、脳梗塞などほかの箇所の疾患も併発する可能性があります。このような場合に他の診療科目と連携するときに、看護師としてと心臓リハビリテーション指導士としての両方の専門知識を持っていると、意思疎通がスムーズになります。
また予防医学も重視されるようになっています。生活習慣病予防をすることで、心疾患の発症リスクを少なくできます。
このような予防に関する指導をすることも心臓リハビリテーション指導士の資格を持っていればできるため、活躍できる範囲が広がります。
心臓リハビリテーション指導士の資格に興味がある看護師さんへ
心臓に関する分野で心臓リハビリテーション指導士の資格は有効活用ます。循環器内科・外科、心臓血管外科のような循環器系の診療科目では高い需要があります。
大学病院や心臓リハビリテーション専門の施設などで求人が出ますから、最新医療が身近な環境の中で仕事ができます。キャリアアップしたい看護師にとっては、おすすめの資格です。
その他にも高血圧症や糖尿病、動脈硬化といった心疾患の原因となる症状を予防するためのアドバイスができる資格です。そこでメディカルクリニックで勤務するとか、将来的には独立開業もできるかもしれませんよ。