看護師のスキルアップ資格「透析技術認定士」
透析技術認定士は、臨床工学技士の中でもポピュラーな業務の一つである血液透析に関して専門的な知識やスキルを持つ人に対して与えられる資格のことです。臨床工学技士を対象として、関連学会に認定されて初めて資格取得できます。
腎機能が正常に働かない場合、体内の老廃物や余分な水分を排出するために、人工透析を行わないといけません。透析を行うにあたって、水分管理が非常に重要になります。
身体に過剰な液体が堪らないようにするために、ドライウエイトコントロールを実施するのですが、透析技術認定士の資格があればそのような適切な体重管理の指導が行えます。
1980年から試験が実施されているのですが、合格者は累積で1万5000人を超えています。ただし5年ごとに認定更新をしないと資格は失効してしまいます。
また、定年により退職している人もいますから、現役で透析技術認定士として資格を生かして活動している人は、1万人から1万2000人程度ではないかとみられています。
透析技術認定士の合格率はずっと45~55%くらいで推移していました。しかし直近の試験を見てみると、70%前後の合格率にまでアップしています。これは試験のレベルが下がったというよりも、予想問題集や過去問題集が入手しやすくなって、試験対策がしやすくなったことが影響しているようです。
透析技術認定士の資格取得方法・条件
透析技術認定士の資格は、透析療法合同専門委員会というところが認定を仕切っています。こちらの委員会は、日本腎臓学会と日本泌尿器科学会、日本人工臓器学会、日本移植学会、日本透析医学会から委員を選出して構成しています。
受験までの流れ
透析技術認定士の認定試験を受けるためには、透析療法合同専門委員会が実施する認定講習会を受講しないといけません。毎年3月から4日間講習が実施されています。
講習に出席できなくても、e-ラーニングを使った講座もありますので、こちらを受講すれば受験資格が得られます。
認定講習会を受講するためには、以下のいずれかの資格が必要になります。
・看護師
・准看護師
・臨床工学技士
ただし、資格があれば受講できるわけではありません。看護師の場合透析業務の2年以上、准看護師の場合高卒なら3年以上、中卒なら4年以上の実務経験が必要です。
ちなみにパートなどの非正規業務で透析の仕事をした場合、期間としてカウントされないので注意してください。
試験内容
血液浄化療法や透析に関する問題が出題されます。認定講習会で行われた講義内容がベースです。マークシート方式の選択問題です。
透析技術認定士の資格取得で給料アップは期待できる?
看護師が透析技術認定士の資格を取得すれば、資格手当の付く可能性があります。通常の給料に月々数千円程度の上乗せ効果は期待できます。パートで勤務する場合でも、通常の時給に多少の上乗せが期待できます。
看護師が資格取得するためには、講習会に出席したり、試験を受けたりしないといけません。いずれも費用を負担しないといけません。
しかし、大規模病院を中心として資格取得を推奨している所では、受験料や受講料を負担してくれるところも見られます。このような補助金や助成金が出るか、あらかじめ確認しておいた方が良いでしょう。
透析技術認定士の資格に興味がある看護師さんへ
透析業務への異動や転職を希望している看護師は増えているみたいです。透析の場合、日時をあらかじめ指定して治療を実施する予約制をとっています。透析にかかる時間も4時間前後と決まっているため、あらかじめ何時に終わるかが予想できます。
急患が入った場合には残業や夜勤を強いられることもあるかもしれません。しかしたいていは平日の日中に終了しますし、土日や祝日に職場に出てくる必要もありません。規則正しく勤務できるため、看護師の間で人気なわけです。
つまり透析業務の仕事をするためには、激しい競争の中を勝ち残らないといけないわけです。そこで生きるのが、透析専門の資格である透析技術認定士です。
透析技術認定士を持っていれば即戦力として評価され、自分の希望する職場に採用される可能性もアップしますよ。これから本格的に透析業務を続けたいのならおすすめです。