看護師のスキルアップ資格「児童福祉士」
児童相談所という公的機関がありますが、こちらに勤務する所員のことを児童福祉士と言います。
任用資格の一種で通常の資格のように、試験を実施していません。一定の条件を満たして地方公務員試験に合格して、児童相談所に配属されれば児童福祉士として勤務できます。
保護者などから子供のさまざまな問題についての相談が持ち込まれますから、専門的な視野に立って必要なアドバイスを行います。またもし家庭に問題を抱えている子供がいれば、児童福祉施設などで一時的に子供を預かることも可能です。
看護師として病院やクリニックでキャリアを積んできた人の中には、キャリアチェンジを検討している人もいるでしょう。
そのような人で子供のケアに興味を持っているのであれば、児童福祉士として活躍する方法もあります。そしてその経験を病院やクリニックに職場復帰した時に活用する方法もあります。
平成25年までに2771人の児童福祉士が在籍しています。児童福祉士に採用される確率ですが、平均すると24.3%となっていて、決して簡単になれる職種ではないことも頭の中に入れておきましょう。
児童福祉士の資格取得方法・条件
児童福祉士は、地方公務員として子供のケアに関する業務を行います。ということは、認定先は各都道府県となります。その他にも政令指定都市でも児童相談所を設置することが義務付けられています。
資格取得までの流れ
児童福祉士になるためには、以下の条件を満たす必要があります。
・児童福祉士養成学校を卒業
・厚生労働大臣指定の講習会の修了
その上で大学などで社会学や教育学、心理学に相当する課程を修了して、指定の施設で1年以上の実務経験を積んでいる必要があります。
その他には看護師や保健師、助産師、保育士、教員などの指定科目の3科目以上学びます。そして大学卒業した後に社会福祉主事として2年以上の実務経験を有していると、任用資格要件を満たせます。
以上の条件を満たしている人は、各都道府県や市町村で実施されている地方公務員試験を受けます。その上で合格すれば、児童福祉士の資格を取得できます。
各地方自治体によって、募集を行う時期は異なります。また年度によって募集する時期としない時期がありますから、自分の住んでいるホームページなどを確認しておくと良いでしょう。
子どもの問題は増えている
少子高齢化といわれていて、子どもが少なくなっているので児童福祉士の需要は低いのではないかと思っている人もいるでしょう。
しかし児童相談所における相談件数は増加しています。片親など家庭環境が多様化・複雑化していることもあって、家庭に問題を抱える子供が増えています。
また長らく続いている不況の影響もあって、子どもの貧困が問題視されています。また児童虐待のニュースも多く報道されるようになって、さまざまな問題が持ち込まれます。
子どもは少なくなっている半面、一人あたりの子供へのケアがより手厚くなります。子どもに親御さんがより多くのお金や手間をかけることで、逆にいろいろな問題が起こります。
児童福祉士の資格に興味がある看護師さんへ
児童福祉士は児童相談所で仕事をしている人のことをさしますね。このため、勤務先は児童相談所一本になります。
子どもの看護やケアに興味を持っている人であれば、資格取得を目指してもいいかもしれません。子どもの抱える問題に関して、いろいろなアドバイスが行えます。
また児童虐待があると、子どもの体にあざなどの痕跡が残ります。この痕跡を見つけ、該当する施設に通報するのも、児童福祉士の役割です。
虐待で怪我してしまった子供が病院に担ぎ込まれることもあります。この場合「階段から落ちた」とかウソの理由を説明する親御さんも多いです。
しかし児童福祉士の経験を持っていれば、そのウソを見破り、子どもの安全を確保できるようになります。児童福祉士を経験することで、今後の病院やクリニックにおける児童ケアにそのノウハウを生かすことも可能ですよ。