看護師のスキルアップ資格「言語聴覚士」
病気や事故、先天的な異常などによって音声や言語、聴覚機能に障害を持っている患者がいます。
言語聴覚士はこのような人たちの機能を維持もしくは向上させ、より自立した自分らしい生活を構築できるように訓練や検査、アドバイスなどトータルでサポートを行うのが役割です。
国家資格の中の一つで、リハビリテーション分野で活躍したい人にはおすすめです。
言語聴覚士はリハビリ関係の国家資格の中でも比較的新しいため、まだ資格保有者数は少ないです。2013年4月の段階で日本全国に21994人います。
最近の言語聴覚士の国家試験の合格率を見てみると、60%台で推移しています。このため、しっかりと試験対策を行っていれば、それほど難しい試験ではありません。養成校を出てすぐに受験すれば、合格率は80%程度にもなります。
言語聴覚士の資格取得方法・条件
言語聴覚士は国家資格で、認定団体は厚生労働省です。厚生労働大臣が免許を交付します。
受験資格
専門課程のカリキュラムを修了しないと受験資格は得られません。条件として以下のようなものが挙げられます。
・文部科学大臣が指定する4年制大学もしくは3年制短大
・厚生労働大臣の指定する言語聴覚士養成所
・一般の4年制大学卒業後2年制の専修学校を修了する
看護資格を取得しているからと言って、何か免除になるわけではありません。資格取得するためにはそれなりの時間がかかりますので、いったん離職するもしくは言語聴覚士取得に理解のある医療機関への転職を検討しましょう。
試験の概要
五肢択一方式のマークシートの筆記試験となります。午前に100問・午後100問の200問によって考査が実施されます。1問1点の200点満点で120点以上獲得するのが合格基準となります。ただしこの合格基準は年度によって、多少調整することもあります。
言語聴覚士の試験の出題分野は、12科目になります。基礎医学や臨床医学、音声・言語・聴覚医学、心理学、音声・言語学、社会福祉・教育など医療科目だけでなく、多方面に関する知識が求められます。
医療の現場におけるコミュニケーション問題の解決に一役買う資格
発達の遅れや失語症をはじめとして聴覚・言語機能に問題があると、言葉によるコミュニケーションが満足にできません。このような問題を抱える人は老若男女、さまざまなタイプの人がいます。
言葉で自分の思っていること、訴えたいことを伝えられないと患者にとっては大変なストレスです。この思いを受け止めるのが、言語聴覚士です。言語聴覚士は医療現場だけでなく福祉施設でも求められています。
言語聴覚士は医師や理学療法士、作業療法士と連携して仕事することが期待されています。看護師は医療チームの一員として、それぞれのスタッフの間で連絡役を務めることが多いです。その意味では言語聴覚士は看護師の特性を生かした資格とも言えます。
高齢化が進んでいる日本の中では高齢者のコミュニケーション問題が今後ますます顕在化する可能性があります。病気の後遺症や認知症などでうまくコミュニケーションが取れない時、言語聴覚士の存在は今まで以上に大きくなるでしょう。
言語聴覚士になると、資格手当の付く可能性が高いです。まだ資格保有者もほかの医療系資格と比較して少ないです。このため、地域や勤務先によってはよりよい待遇を受けられる可能性にも期待が持てます。
言語聴覚士の資格に興味がある看護師さんへ
言語聴覚士の資格を生かして勤務している看護師を見てみると、病院やリハビリセンターのような医療施設で活躍している人が多いです。
そして上でも紹介したように高齢者を対象にしたケアへの需要も高まっていることから、介護老人保健施設やデイケアセンターの需要も高まっています。
さらには障碍児施設などの福祉施設、学校や特別支援学校、研究施設といった感じでいろいろな職場で活躍できます。キャリアチェンジを検討している看護師には、おすすめの資格といえますね。
コミュニケーションに問題のある患者を相手にした仕事です。このため、粘り強く相手が何を言いたいのか聞く、忍耐力のいる仕事といえますね。