看護師のスキルアップ資格「運動器看護師」
運動器看護師とは、運動器の看護分野におけるスペシャリストのことです。自分で看護することはもちろんのこと、後輩の同じ分野のナースの育成も仕事に含まれます。
また運動器障害を抱えている患者に対する治療やケアは、他の職種と連携する必要があります。また患者やその家族ともコミュニケーションをとる必要があり、これらの間の架け橋的な役割を担います。
運動器看護師はまだ看護師の中でも資格取得している人は少ないです。2015年の時点で30名しか日本全国で資格保有している人はいません。このため、資格を持っていると転職などをする時に売りになります。
運動器看護師の合格率を見ると、80%くらいで推移しています。看護師の仕事をこなしながら、講座をしっかり受講していれば合格できる公算はかなり高いと言って良いでしょう。
運動器看護師の資格取得方法・条件
日本運動器看護学会というところが資格認定を実施しています。
受験資格を得るには
主催団体の日本運動器看護学会の会員とならないといけません。なおかつ看護師として5年以上の実務経験のあることが必須条件となります。その上で、整形外科や脳神経外科、リハビリテーション科などの運動領域に関係する所で3年以上の実務経験がないといけません。
以上の条件をクリアしている人は、日本運動器看護学会認定の運動器看護師育成講座のすべてのコースを受講して500ポイント以上獲得すると受験資格が与えられます。ちなみに講座の内容ですが、4つのコースに分類されます。
・学会認定運動器看護師基礎コース
・臨床看護基礎コース
・臨床看護実践コース
・看護実践事例報告コース
ちなみにすべてを一度に受講する必要はありません。5年間は履修記録が残りますから、5年以内に4つのコースを受講すれば受験資格は得られます。
試験よりも講習
運動器看護師には試験があります。しかし試験の難易度は決して高くはありません。これは、主催する日本運動器看護学会の姿勢が関係しています。
この学会では、試験よりも講座の受講の方を重視しているためです。講座を受講するたびにポイントが与えられます。勉強熱心な人に向いている資格といえます。
ちなみに運動器看護師の資格は更新制の資格になります。5年に1回のペースで更新を行います。更新をするためには条件があって、300ポイント以上を更新するときまでに取得しないといけません。活動実績に基づき、ポイントが付与されます。
体の不自由な方の看護に役立つ
運動器の障害を抱えている人を対象に専門的な知識やスキルを駆使してケアをするのが、運動器看護師の役割です。運動器の障害は老若男女誰でも起こりえます。若い人でもスポーツのけがや事故に巻き込まれるなどで問題を抱えるケースは十分考えられます。
また高齢者は筋力の低下などから、運動器に障害を抱える人は多いです。今後は高齢化がますます進むと予想されていますから、運動器看護師の資格を持っている人はますます重宝されると考えられます。
しかも冒頭に紹介したように、資格保有者が日本全国で数十人しかいません。このため、転職する際に運動器看護師は有利に働く可能性は高いです。整形外科や脳神経外科、リハビリテーション科などで看護師としてのキャリアを積みたいと思っている人にはおすすめの資格です。
運動器看護師の資格に興味がある看護師さんへ
運動器看護師の資格を生かせる職場は、運動器分野になります。整形外科や脳神経外科、リハビリテーション科などのある総合病院に就職する場合には生かせる資格だと思います。
またこれらの診療科目を掲げているクリニックなども良いですよ。リハビリに特化した施設でも活躍できる可能性は高いですね。
高齢者で運動器に障害を抱えるケースも多いですから、介護施設でも今後募集が多く出るかもしれませんね。もしくはスポーツ関係のチームに所属して、アスリートの運動器回復のためのリハビリを担当するコンディショニングコーチとして活躍できる可能性もありますよ。