看護師のスキルアップ資格「臨床工学技師」
臨床工学技師とは医師や看護師などの医療スタッフと医療機器の間をつなぐ役割のある資格で、医学だけでなく高額の知識を持った専門家の証明になります。
臨床工学技師は主に生命維持装置の操作や保守点検をする仕事を担当します。ちなみに医療現場では、医師の指示のもとで操作を行います。
臨床工学技師の資格保有者ですが、日本全国に3万3000人以上いるといわれています。
臨床工学技師は国家試験に合格しないといけませんが、合格率は毎年70~75%くらいで推移しています。ですから受験対策をきちんと行っていれば、合格できる可能性の高い資格といえます。
臨床工学技師の資格取得方法・条件
臨床工学技師は国家資格の一種になります。認定しているのは、厚生労働省です。
受験資格を得るには?
通常であれば臨床工学技師の受験資格を得るためには、専門学校や短大、大学などで臨床工学技師として必要な知識や技能を習得する必要があります。
3年以上の学習期間ののち、卒業すると受験資格が自動的に与えられます。
ただし以下の条件をクリアしている人は、1年間専門家に通って所定のプログラムを修了すれば、受験資格を取得できます。
・臨床検査技師
・診療放射線技師
・看護師
上記の養成校を卒業している場合です。このため、看護師と臨床工学技師の両方の資格を持っている人は少なくありません。
試験科目
臨床工学技士国家試験では試験科目として、以下の9つのジャンルから出題されます。
・医学概論(公衆衛生学や人の構造および機能、病理学概論・関係法規など)
・臨床医学総論(臨床生理学や臨床生化学、臨床免疫学・臨床薬理学など)
・医用電気電子工学
・医用機械工学
・生体物性材料工学
・生体機能代行装置学
・医用治療機器学
・生体計測装置学
・医用機器安全管理学
看護師が臨床工学技師の資格を取得するメリットは?
看護師が臨床工学技士の資格を取得すれば、基本給に資格手当が上乗せされる可能性が高いです。資格手当がいくらになるかは勤務する医療機関によって異なります。
一般的な傾向として、国公立病院よりは民間病院やクリニックの方が高い手当の付く傾向が見られます。
大規模病院では生命維持装置を導入しているところが多いです。この生命維持装置を正しく操作でき、スムーズに運用を行う人材は求められます。
需要に対して臨床工学技士の数が足りていない状態が続いていますから、資格取得すれば転職するのに有効な武器になりえます。
また臨床工学技士に対する需要は、眼科や美容整形のクリニックでも高いです。眼科や美容整形の世界では、レーザーを使った治療をしばしば行います。
このレーザー機器を操作するスタッフとして、臨床工学技士の資格を持った看護師は高く評価されます。このように医療の世界では需要の高い資格ですから、取得しておいて損はないでしょう。
臨床工学技師の資格に興味がある看護師さんへ
臨床工学技士の資格は医療の世界で活かせますが、もう一つ医療機器メーカーに転職する方法もあります。
医療機器メーカーでは、臨床工学技士という国家資格を持った人を一目置く傾向があります。国内メーカーはもちろんのこと、外資系のメーカーに採用される可能性も高いです。もし外資系メーカーに就職すれば、今後海外で活躍できるかもしれませんね。
臨床工学技士の臨床実務経験を5年以上あって、医学博士もしくは工学博士号を取得すれば、養成校の教職員にもなれます。後進の指導に関心のある人も、おすすめの資格です。
臨床工学技士になるためには、もともと機械の操作に興味のある人が良いです。プラスして意外と重要なことかもしれませんが、コミュニケーションスキルを持っている点も重要です。
医者や理学療法士、栄養士、臨床検査技師などと患者の情報を交換するための月に1回の会議を実施します。その中で患者のQOLを高めるためにはどうすればいいのか、といったことをプレゼンする必要があります。
知識や技術だけではカバーしきれない部分もありますから、他のスタッフと情報交換して、より良い治療を提供できますよ。