看護師のスキルアップ資格「栄養サポートチーム専門療法士」
NSTと呼ばれる栄養サポートチームがあります。このNSTの中でも、患者の栄養管理のサポートに特化した専門家の資格として、栄養サポートチーム専門療法士があります。
患者の中には諸事情により、口から栄養摂取できない患者もいます。高齢者や化学療法、人工呼吸療法を受けている人は不可能です。栄養サポートチーム専門療法士はそのような人にそれぞれの状況に合わせた栄養補給をしていきます。
NSTはアメリカで採用されていた治療法で、栄養士や薬剤師、臨床検査技師、さらには看護師などによって構成されます。
栄養サポートチーム専門療法士は平成16年に新たに作られた資格です。資格保有者数は公表されていないものの、まだそれほど数は多くないでしょう。認定開始当初は、管理栄養士と薬剤師だけが資格取得を認められていました。
しかし、以降看護師や臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士も資格取得の権利を得て、資格保有者は数年で増加傾向にあるとも言われています。
栄養サポートチーム専門療法士の資格試験の難易度は決して高くありません。ただ受験資格が細かく規定されているため、道のりが遠くなるケースも考えられます。
栄養サポートチーム専門療法士の資格取得方法・条件
日本静脈経腸栄養学会というところが認定しています。日本全国に支部がありますので、試験に関することで聞きたいことがあれば、比較的簡単に問い合わせ可能です。
受験資格を得るには
医療関係の国家資格を有している人が前提条件となります。
・医師
・看護師
・薬剤師
・管理栄養士
・臨床検査技師
・作業療法士
・理学療法士
・言語聴覚士
・歯科衛生士
・臨床工学士
まずは上記のいずれかの資格が必要です。
その上で医療や福祉の現場において、5年以上の実務経験が求められます。その中でも栄養療法の業務経験が必須条件として含まれます。
そして、日本静脈経腸栄養学会の行っている教育セミナーに参加し、実地修練を30単位以上取得して、受験資格を得られます。
認定試験の内容
年に1回実施され、教育セミナーの時にテキストとして利用される「コメディカルのための静脈経腸栄養ハンドブック」の内容から出題されます。択一方式の試験で考査が実施されます。
栄養サポートチーム専門療法士の給料事情
日本ではなかなかその必要性が認知されませんでしたが、欧米では古くから取り入れられている治療法です。ただ日本でも徐々に専門家の間で認知されるようになって、急激に認知度が広がりつつあります。
その意味では、資格を持っていると看護スキルの信頼性をアップさせる効果が十分期待できます。
栄養サポートチーム専門療法士の資格を持った看護師の給料は、多少アップする可能性があります。資格手当などがついて、月々数千円程度の給料アップ効果は期待できます。ただしこれからどんどん認知されていく中で、評価も高まる可能性は十分期待できるでしょう。
栄養サポートチーム専門療法士の資格に興味がある看護師さんへ
栄養サポートチーム専門療法士の資格は、病院で勤務する看護師は広く使えます。一般病棟のある病院やクリニックはもちろんのこと、療養型施設や介護施設でも就職する際に武器になる資格だと思います。
長期入院を防ぎ、症状が安定している人は自宅療養する傾向が強まっています。このため、訪問介護・看護の重要性が高まっていて、この分野でも栄養サポートチーム専門療法士の資格を持っていると有利に働くと思います。医療と福祉の間に関わる資格といえますね。
ちなみに病院における栄養サポートチーム専門療法士の資格を持った看護師の仕事は、カテーテルの管理や食事チェック、NST診療録の管理などですね。患者と接する機会が多くなりますから、患者の状態をより詳細に把握している医療スタッフになります。
そこでチームスタッフに患者の状態で気になることがあれば、周知徹底させるのも重要な役割です。
一方で、患者に自分の栄養状態を把握してもらうための説明の役割も担います。その意味では、コミュニケーションスキルに長けた人の方が向いているといえるでしょう。