看護師のスキルアップ資格「日本糖尿病療養指導士」
生活習慣病の中でも糖尿病を罹患する患者が増えています。糖尿病の場合、投薬治療というよりも食事療法や運動療法のような日頃の生活指導がベースになります。
日本糖尿病療養指導士(CDEJ)は医者の指示のもとで、患者に対して直接糖尿病療養指導を行うスタッフのことをさします。生活指導全般に関する専門家として、高い知識やスキルを持っていることを認定するための資格です。
日本糖尿病療養指導士ですが2013年の6月時点における資格保有者の数は、17651人います。日本糖尿病療養指導士の難易度は2011年ごろまでは合格率が90%前後で推移していました。ですからまず勉強すれば合格は間違いありませんでした。
しかし2012年ごろからは合格率が75%前後になっていて、やや難易度が上昇しています。今まで以上に入念な試験対策をする必要があります。
日本糖尿病療養指導士の資格取得方法・条件
日本糖尿病療養指導士認定機構というところが資格の認定を行っています。こちらの機構は日本糖尿病学会と日本糖尿病教育・看護学会、日本病態栄養学会が母体になって設立されました。
受験資格
まず前提として、以下ののいずれかの資格を取得していないといけません。
・看護師
・管理栄養士
・薬剤師
・臨床検査技師
・理学療法士
その上で日本糖尿病学会専門医か日本糖尿病学会の会員で糖尿病の診療や療養指導に従事している医者の指導の下で勤務経験があり、過去10年以内に2年以上継続で勤務して、療養指導業務を通算で1000時間以上行う必要があります。
そして糖尿病療養指導の事例が10例以上あって、日本糖尿病療養指導士認定機構が開催している講習会を受講して、受講修了証を受けると受験資格が得られます。
試験内容
糖尿病療養指導ガイドブックに記載されている内容をベースに出題されます。マークシート方式の筆記試験となります。
その他にも糖尿病療養指導の事例も評価の対象になります。一定点数以上を試験で記録し、評価委員会の委員の過半数以上の認定で資格取得できます。
病院勤務で資格手当が付くケースも
厚生労働省のデータに基づくと、糖尿病の患者数は日本に690万人います。ただ糖尿病はり患していても自覚症状が発生しにくいため、糖尿病の可能性の否定できない人も含めると実に1370万人いるのではないかと考えられています。
日本の人口を考えると、10人に1人が糖尿病に罹患している可能性がある計算となります。しかし糖尿病患者の増加に対して、医療設備が追い付いているかというとそうではない現状があります。日本糖尿病療養指導士の資格を持った看護師は、今後ますます必要とされる可能性は高いです。
日本糖尿病療養指導士の資格を取得すれば、大規模病院を中心として、資格手当の支給される可能性があります。ちなみに手当の額ですが、基本給に月々3000~5000円程度プラスされると思ってください。また転職するにあたって日本糖尿病療養指導士があれば、高待遇で採用してくれる病院も見られます。
日本糖尿病療養指導士の資格に興味がある看護師さんへ
医師の下で糖尿病療法の指導を行いますから、病院やクリニックが主な職場になります。ただ高齢者の間で糖尿病にかかる人の割合が高いですから、介護施設や福祉施設でも今後資格を持った人の募集が増えるかもしれません。
糖尿病は、生活習慣病の一種です。そこで患者の身の回りの施設が連携して、糖尿病治療を行う必要があります。このため場合によっては、患者がよく利用する歯科医や調剤薬局などで糖尿病のことに関して患者に周知徹底させる必要性が増すかもしれません。
そうなってくると、日本糖尿病療養指導士の資格を生かして活躍できる場は広がると思いますよ。
生活全般の指導で、時には窮屈だと患者が思うようなことも言わないといけないかもしれません。その場合、患者が納得できるように、なぜその療法や生活習慣の改善が必要なのか、わかりやすい言葉でていねいに説明することを心がけたいですね。