看護師のスキルアップ資格「医療福祉アドバイザー」
高齢者をはじめとした感染予防やメンタルケアの専門家の資格に、医療福祉環境アドバイザーがあります。
医療の他にも福祉や介護の世界でも活躍できる資格になります。高齢者は感染症に対して抵抗力がどうしても弱いです。そこで患者やその家族、さらには治療に従事しているスタッフを感染のリスクから軽減するために重要な役割を担います。
医療福祉環境アドバイザーは1~3級の3種類の資格があります。3級は感染に関する基本的な知識を持って、コミュニケーションによってメンタルケアをします。2級になるとウイルスやHACCPの知識を持ち、現場で応用できるスキルが認められます。
1級資格になると患者のケアだけでなく、施設内の感染予防マニュアルの企画や運用を行うとか、感染リスクを軽減するための研修や教育も担当できます。
医療福祉環境アドバイザーの資格保有者数は公表されていません。しかしその中でも看護師の資格保有者が多く、1級は看護師が資格保有者の半分を占めています。
2013年度のデータを見ると、合格率は2級と3級が68%、1級で66%となります。決して難しい試験ではないので、しっかり受験対策をして合格したいところです。
医療福祉環境アドバイザーの資格取得方法・条件
医療福祉環境アドバイザーは民間資格になります。医療福祉検定協会というところが認定しています。
受験資格
医療福祉環境アドバイザーは基本的に誰でも受験は可能です。先ほども紹介したように、1~3級までの資格があります。3級から受験するのが基本ですが、予備知識を持っていて自信のある人は2級から受験も可能です。また複数の級の併願も可能です。
医療福祉環境アドバイザーの試験対策をするためには、医療福祉検定協会が発行している公式テキストと公式問題集があります。こちらを使って独学して、受験勉強をする人が多いです。
試験の概要
選択形式のマークシート式で100題出題されます。試験時間は60分で、100点満点中70点以上獲得できれば合格になります。
院内感染対策における重要な役割
高齢者の入院患者の占める割合が高くなっているため、病院では今まで以上に院内感染対策の充実が求められています。実際、過去にニュースで、院内感染によりお年寄りの患者を中心に複数犠牲になるという報道が時折流れます。
院内感染などのエキスパートである医療福祉環境アドバイザーに対する病院の需要は、今後ますます高まるでしょう。
院内感染は患者だけでなく、院内で仕事をしているスタッフにとってもリスクです。感染症にかかると病院に出られなくなって、スタッフの数が少なくなり、業務に支障をきたす可能性も考えられます。
医療福祉環境アドバイザーの資格を保有することで、給料面で優遇されることは少ないようです。しかしスキルを評価されて、重要なポジションを任されるようになれば、給料アップも期待できます。
またウイルス感染に関する知識やスキルは、職業だけでなく、日常生活でも使えるものです。自分自身や家族の健康を守る上でも重宝する資格ではないでしょうか?
医療福祉環境アドバイザーの資格に興味がある看護師さんへ
医療福祉環境アドバイザーの資格保有者を見てみると、4割くらいの人が病院やクリニックで勤務しています。残りの3割は、高齢者や障碍者の介護福祉施設で活躍しています。
その他には医療関連会社をはじめとした一般企業や学校の保健の先生として働いている人や、薬局や化粧品の販売店で仕事をしている人も見られます。
冬場になると、毎年インフルエンザやノロウイルスが猛威を振るうことは皆さんもご存知ですよね。もし院内でインフルエンザやノロウイルスが蔓延すると患者が危ないです。その対策をするに当たって、医療福祉環境アドバイザーは重要な役割を担います。
さらに世界的にみると、エボラ出血熱やMERSといった感染症が広がってニュースでもしばしば取り上げられています。日本には感染が確認されていないといっても、今やグローバル社会であり飛行機などで世界どこでもアクセスできます。
いつ海外から持ち込まれるかわからないですから、感染症のエキスパートの医療福祉環境アドバイザーの存在感は今後ますます増すと思いますよ。