看護師のスキルアップ資格「認定心理士」
認定心理士はその名から推測できるかもしれませんが、心理学の専門家として認定される資格のことです。
臨床心理士や心理カウンセラーといった心理学関係の資格がありますがこれらは具体的な資格である一方で、認定心理士は基礎学力や技能を有していることを証明するための資格です。
認定心理士の資格保有者数は、2013年の時点で41500人程度いるといわれています。
認定心理士の審査ですが、例年90%以上の合格率で推移しています。高い合格率を有していますので、書類の準備に怠りがなければ、資格取得できる公算は高いと思って良いでしょう。
認定心理士の資格取得方法・条件
認定心理士は日本心理学会という公益社団法人が認定、審査の主催を担当しています。
受験資格を得るには
他の資格とは違って、資格認定にあたって試験は実施されません。
申請手続きを行って、審査の結果問題ないと判断されれば、資格取得できます。申請方法には3種類の方法のいずれかがあります。
●大学卒業後の認定申請
4年制の大学で心理学関連の単位を認定単位として提出する方法です。
●大学卒業前に申請
卒業前に申請も可能ですが、こちらは借り認定申請といった形になります。卒業時に必要単位の修得できていることを証明すれば、仮認定資格が得られます。そのまま無事に卒業できれば、正式に認定資格が与えられます。
●大学既卒で申請
大学を既卒している場合には、日本心理学会に5年以上正会員として在籍すれば、申請が可能です。看護師が認定心理士の資格を取得するにはこの方法が一般的になるでしょう。
書類審査の方法
認定・仮認定申請時に、心理学関係科目習得単位表と呼ばれる書類を提出します。
記載された内容をチェックして、不備がないようであれば資格が交付されます。もし審査不合格の判定が出たとしても、何度でも再申請手続きを行えます。
認定心理士の資格の需要
精神疾患のあることが世間一般でも広く認知されています。その影響もあって、企業や会社、工場などで心理カウンセラーを配置している所が増えています。精神疾患を抱えた従業員がいると、作業効率がどうしても低下します。それが結果的に業績悪化に発展する恐れもあります。
そこで今後ますます認定心理士のような心理学関係の資格を持ったスペシャリストに対する需要が高まると見込まれています。ただし認定心理士の場合、心理学に関する学力を持っていることを証明する資格といえます。
カウンセラーとして今後キャリアアップしていきたいと思っている看護師がいれば、そのほかの関連資格も取得した方が活動もしやすいでしょう。
認定心理士の場合、この資格を持っているからと言って資格手当などの給料アップはあまり期待できません。あくまでも大学の学習を認定して与えられる資格ではないからです。
もし待遇改善のために資格取得を希望するのであれば、臨床心理士のような関連する資格の取得をおすすめします。
認定心理士の資格に興味がある看護師さんへ
精神科や心療内科で仕事をしている人は、認定心理士の資格を持っていると有利になると思いますよ。
また、都市部を中心として、心療内科クリニックもたくさんあります。このような心療内科クリニックで勤務したい人も、資格取得を目指しても良いですね。
その他には介護福祉施設や児童相談所、学校などで活躍している看護師で認定心理士の資格を持っている人は多いです。
心理学関係の資格はカウンセラーと結び付けて考える人も多いでしょう。しかし、認定心理士の資格だけで、カウンセラーとして活躍するのはやや難しいかもしれません。
カウンセラーとして初歩的な資格で、ここから臨床心理士なり心理カウンセラーなりの資格を取得して、カウンセリング関係で活躍するのが良いと思います。
認定心理士の資格取得を目指す看護師の中には、大学院に進学して心理学を勉強する人も多いです。もし学業と仕事の両立を希望するなら、大学院への進学に対して理解のある病院に就職した方が良いでしょう。