看護師のスキルアップ資格「小児看護専門看護師」
子どもの看護ケアに関する専門的な知識や能力を持っている人を対象に認定している資格が、小児看護専門看護師です。
子供の場合、まだ大人ほど免疫や耐性が発達しているわけではありません。このため病気やけがをした場合、大人よりも重篤な症状になる可能性があります。
そこで症状が進行するのを未然に防ぎ、他の医療スタッフと連携してハイレベルの看護を提供するのがまず役割としてあります。
また子どもが病気やけがをすれば、親御さんも心配なはずです。そこで病状がどうなのか、今からどのような治療を実施するのかなどの情報を提供し、親御さんの不安を和らげる役割もあります。
ただ単に病気やけがの対応をするだけではありません。子どもたちが健やかに成長するためのサポートも実施します。発育によってかかるリスクの高まる病気などもありますから情報提供して、親とともにケアをしていきます。
小児看護専門看護師の資格を取得している人は、2015年9月現在140名います。主に病院、子どもセンターなどで活躍しています。
小児看護専門看護師の試験合格率は90%前後で推移しています。研究などを事前に十分行っておけば、合格できる可能性は十分あります。
小児看護専門看護師の資格取得方法・条件
日本看護協会が認定を行っています。
受験資格
看護師免許を取得し、5年以上の実務経験を有している人が条件です。その中で小児看護の実務経験が3年以上ないと受験できません。
試験を受けるためには、実務研修の実績報告書を提出しないといけません。以下が内訳となります。
・看護実践:2例
・ケア提供者に対するコンサルテーション:1例
・ケアを行う保健医療福祉関係者間のコーディネーション:1例
・看護師に対する教育活動:1例
試験の概要
まず上で紹介した実務研修の実績報告書を提出します。その他には看護系大学院修士課程や関連する領域の修士課程のカリキュラムを修了し、教育課程の中で作成した論文の提出も求められます。
そして筆記試験を受けて、書類審査と筆記試験の両方に合格すれば、晴れて小児看護専門看護師になれます。
いつの時代も必要とされる資格
少子化が進み小児科が廃止になる医療機関も多く、小児看護専門看護師の必要性に疑問を感じている人もいるでしょう。しかしいつの時代でも小児看護は絶対に必要である、そのエキスパートである小児看護専門看護師の需要も高いです。
子どもは抵抗力が弱いため、ちょっとしたことでも重症化しやすく、早期に的確な治療ができるかどうかがポイントです。そのためには医者だけでなく、看護師のハイレベルのケアが必要です。
子どもの病気やけがは時として、その後の発達に深刻な影響を及ぼすこともあります。地域医療の中でも重要な存在になるでしょう。
工業化の進んでいる日本では、近年公害などの問題もしばしば取り上げられます。このような公害に関しても、免疫力の強くない子供の方が大人と比較するとより大きな影響を受けます。
このような公害対策をする時にも小児看護専門看護師の専門家がいると安心です。その意味で少子化が進んだとしても、需要は安定するだろうと考えられます。
小児看護専門看護師の資格に興味がある看護師さんへ
小児看護専門看護師ですから小児科のある病院やクリニックで活躍している人が多いです。その他にも小児医療センターやこども医療センターといった小児を中心にケアしている医療機関で仕事をしている人もいます。
また国立成育医療研究センターなどの独立行政法人とか、リハビリセンターなどで病気やけがの後遺症でリハビリに励んでいる子供の看護を担当するケースも考えられます。子どもは都市部などでは比較的多くいますから、需要は高いですね。
治療を子どもが嫌がることも多いでしょう。そこでなだめるとか中止をそらすなどして治療を受けやすくする能力があると良いです。ある意味子育て経験のある人の方が有利だと思います。自分の経験をもとにして、親御さんの相談にも乗れますよ。