看護師のスキルアップ資格「家族相談士」
家族の中で様々な葛藤や混乱などの問題の発生する可能性があります。
そこで家族関係の修正をするために、心理的な側面から対処をするのが家族相談士です。家族に対してメンタルの部分でのサポートのできる専門家と認められた人に与えられる資格になります。
家族相談士は2013年4月の段階で1742人の資格保有者がいます。資格認定審査を受ける前に、家族相談士養成講座を受講して試験対策を行っています。
このため、試験の合格率は90%以上とされています。心理カウンセリング系の資格はいろいろありますが、その中では難易度は決して高くない資格といえます。
家族相談士の資格取得方法・条件
家族心理士・家族相談士資格認定機構が、資格試験の実施並びに資格認定を行っています。家族心理士・家族相談士資格認定機構は、家族心理学会と日本家族カウンセリング協会が共同で設置している団体です。
資格認定審査を受けるには
まず、以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
・医師
・看護師
・助産師
・臨床心理士
・日本カウンセリング学会認定カウンセラー資格
・心理学および関連学域の大学院修士課程在籍者もしくは修了者
・大卒でカウンセリングの基礎課程修了者
その上で臨床カウンセリングに関係する実践経験1年が必要です。
このような人には家族相談士養成講座に登録の権利が与えられます。そして講座を受講して修了認定を受ければ、受験資格を得られます。その他には家族心理学の領域で研究実績もしくは臨床経験を有している人でも受験は可能です。
ちなみに資格は更新制となっています。もし更新手続きをせずに資格が失効してしまった場合でも、失効から2年以内であれば受験資格は残されます。
試験の概要
書類審査と筆記試験、面接審査の3段階で考査されます。書類審査をまずは受けて、筆記試験や面接審査を受験できるかどうかが判断されます。筆記試験も面接審査も基本的には養成講座で学んだことから出題されます。
筆記試験では人間発達研究や夫婦・家族研究、夫婦・家族療法、倫理・法律から出題されます。面接審査では、調査・研究法や臨床実績、スーパーヴィジョンを中心として出題される傾向がありますから試験対策をしましょう。
医療の現場においてもメンタル系資格は今後の需要が見込まれる
家族相談士の資格は、まだ日本国内では決して知名度の高くない資格といえます。しかし個人のメンタルをケアする資格は、徐々に世間でも認知され、その役割が重視されつつあります。産業保健師や産業カウンセラーの資格が注目されていることもお分かりになるでしょう。
そして家族内の問題がしばしばニュースなどでも紹介されます。DVや児童虐待、高齢者の介護の問題など様々です。家族関係に関して適切なアドバイスや指導を行える家族相談士は、今後ますます需要が高まってくると予測されています。
まだ日本国内で資格保有者も多くないですから、カウンセリング関係で看護師の仕事を続けていきたいのであれば、取得しておいて損はないでしょう。
給料に関しては、病院や福祉施設ではまだそれほど高く評価される資格ではないようです。ただし産業保健師や産業看護師、幼稚園のスタッフとして勤務するのであれば、資格手当をくれるようなところも見られます。
このような病院以外の職場でキャリアアップしていきたいと思っている看護師にとっては、プラスになる資格といえます。
家族相談士の資格に興味がある看護師さんへ
家族相談士の資格は、幅広い職場で生かせますからおすすめですね。病院や特別養護老人ホーム、養護施設のような福祉施設だけでなく、保育園や大学のような教育機関でも注目されています。
また家族相談士としてキャリアを積み重ねていけば、個人的にカウンセラーとして活動もできますよ。人気のカウンセラーになれば、セミナー開催とか講演活動といった活躍の仕方も可能ですよ。
専門的な知識はもちろん必要です。しかし家族の話をしっかりと聞き、彼らの問題と寄り添う姿勢を見せることが家族相談士として求められる姿勢だと思ってくださいね。