看護師のスキルアップ資格「医療メディエーター」
医療事故がニュースなどでも取り上げられるようになって、一般の目も厳しくなっています。
医療事故と思われる事例が発生した場合、医療スタッフと患者との間で解釈の齟齬が起こり、時にトラブルに発展することもあります。
当事者同士で話がまとまらない場合、第三者が間に入って問題解決する必要も出てきます。このような問題解決のための調停役になるのが、医療メディエーターです。
医療メディエーターは患者と医療スタッフの仲介役だけでなく、日常のクレームの対応も取り扱います。トラブルは長引けば長引くほど、双方納得する形での問題解決は難しくなります。そこで医療メディエーターが初期対応をいかにうまく行うかが重視されます。
医療メディエーターの資格ですが、2015年までに3400名ほどの保有者がいます。医療メディエーターは後で詳しく説明しますが、資格取得のために試験は実施されていません。ですから試験の難易度などは関係ありません。
医療メディエーターの資格取得方法・条件
日本医療メディエーター協会という社団法人が認定しています。医療現場で働く人を対象にして、専門的な知識やスキルなどの啓もうや倫理性の教育などを実施しています。
資格取得までの流れ
まず医療関係のスタッフであることが前提条件となります。看護師で病院勤務をしていれば、問題はありません。
その上で認定先の日本医療メディエーター協会が開催している院内医療メディエーター養成教育プログラムを受講します。講座を受講して、終了後に日本医療メディエーター協会で登録手続きをすれば、資格取得できます。
ちなみに受講したら受講証というものが発行されます。受講した後時間が経過しても、この受講証を提示すればいつでも認定を受けられます。
医療メディエーターには、AdvancedとBasicがあります。院内医療メディエーター養成教育プログラムを受講すると、Basicの資格が取得できます。その後定期的にプログラム受講し、1年以上実務経験を有するとAdvancedといった上級資格に更新できます。
認定養成教育プログラムの内容
医療メディエーションの理論や分析、技法、倫理といった全般的なことに関して受講します。カリキュラムは2日間にわたって実施されます。Advancedのための受講プログラムは、継続編と応用編のコースがそれぞれ2日間の日程で実施されます。
医療事故の問題解決役として
医療メディエーターですが2005年からスタートした認定制度で、まだそれほどの歴史はありません。認知度も世間一般では決して高くないかもしれませんが、受講者数は年々増加しています。
医療事故が広く取り上げられることもあって、一般の方の知識もついてきています。このため、いろいろなクレームの入ることも増えています。
そこで病院にとって医療メディエーターの資格を持っている人がいると、未然に問題が大きくならずに済みます。
実際医療メディエーターを配置している病院では、そうでない病院と比較してクレームが発生してから問題解決するまで時間短縮ができ、クレーム数そのものが減少するといったメリットがあるようです。
このため、病院でも医療メディエーターの資格取得を希望する看護師をバックアップしてくれます。中には医療メディエーター講座の受講を推奨しているところもあります。
普段から患者と深くかかわっている看護師が医療メディエーターの資格を取得していると、クレームなどにも未然に対応できるでしょう。患者の入院中のストレスなども溜め込まないようにもでき、より快適な病院生活が送れるでしょう。
医療メディエーターの資格に興味がある看護師さんへ
病院におけるトラブルに対処するための資格ですから、病院で活躍したい人におすすめです。特に高齢化社会が進んでいる現在、高齢者が多く入院している病院でニーズが高まっています。
病院の他には介護施設や老人ホームでも医療メディエーターの資格を持っている人を配置する傾向があります。介護や福祉に興味のある人にもおすすめの資格です。