看護師のスキルアップ資格「体外受精コーディネーター」
カップルで子供を希望しているのになかなか授かることのできない人もいます。このようなカップルの中には医療機関で不妊治療を行っている人も少なくありません。
しかし、不妊治療は複雑で、医師による説明が不十分だとよく理解できていない事例も出てきます。このようなカップルの後方支援をするのが、体外受精コーディネーターです。
体外受精コーディネーターは治療法についてのアレンジや不妊治療の関係先との調整などを行います。また不妊治療に関して不安なこと、わからないことがあればカップルの相談に乗ることもあります。
体外受精コーディネーターの資格保有者数は450名程度いるといわれています。合格率は主催団体から公表されていないものの、70%前後で推移しているのではないかと見られています。
受験対策をしっかり準備しておけば、合格できる可能性は高いと言って良いでしょう。
体外受精コーディネーターの資格取得方法・条件
体外受精コーディネーターの認定を行っているのは、日本不妊カウンセリング協会という特定非営利活動法人です。
試験を受けるための必要条件
生殖医療に関する基礎知識やエビデンスによる不妊治療の基礎知識を持っている、不妊治療を行っている患者の心理面や社会的立場について理解しているなどの基礎的なスキルを持っていることが大前提です。
その他には患者を中心としてサポートしていく考え方をマスターしている、情報の適切な伝達方法を理解していることも条件です。
さらに以下の条件が必要になります。
・受験資格を得てから3年以内である
・体外受精コーディネーター養成講座の3回以上の受講
・日本不妊カウンセリング学会会員で年会費の未納がない
・ART施設における1年以上の実務経験・研修経験がある
試験の概要
筆記試験と面接試験によって資格の認定の可否が判断されます。受験申請するときには、書類審査が実施されます。
その中で体外受精コーディネーターの資格を取得した場合、今後どのように活動するかをレポートとして提出しないといけません。具体性があるか、力の入れたい分野が明記されているかがチェックされます。
体外受精コーディネーターの需要
日本では晩婚化が進んでいるといわれています。男性の場合、決定的な問題にはなりませんが、女性は閉経がどうしても訪れます。閉経してしまうと基本子どもを作ることができなくなります。
晩婚化が進むということは、それだけ閉経までの時間が少ないわけです。そこで不妊治療を早めに行って、赤ちゃんを産みたいと考える女性は多いです。
体外受精を希望する人は増加傾向にありますが、先ほども紹介したように体外受精コーディネーターは日本全国に450人程度しかいません。このため、体外受精コーディネーターの資格を持っている人は医療機関では特に重宝されるといえます。
看護師で体外受精コーディネーターの資格を取得していると、年収アップの可能性が期待できます。年収で400~600万円程度稼げる可能性も十分あります。スキルアップだけでなく、年収アップのために資格取得を希望する看護師も多いです。
体外受精コーディネーターの資格に興味がある看護師さんへ
子どもを希望しているけれども、なかなか授からないカップルは自分の周囲からいろいろなプレッシャーを受けます。
職場の人たち、また自分や相手の両親から「子供を作らないの?」といわれることもしばしばです。相手は何気なく聞いたことかもしれませんが、それが聞いた側には一種の圧迫になってしまうんです。
また、医師が十分に不妊治療に関する説明をしてくれないケースも多いみたいですね。今自分がどのような治療をやっているかよくわからないと、不安もあるでしょうし閉塞感も出てきます。
そして、何より「自分のことを誰も理解してくれない」といった孤独感にさいなまれる人も多いようです。
このような精神的に不安定な状態になりやすい患者をサポートするのが体外受精コーディネーターです。
その意味では看護師としての専門的知識やスキルももちろん必要ですが、それ以上に患者に寄り添う、精神面のサポートが求められる資格ですね。