看護師のスキルアップ資格「フットケア指導士」
足は私たちの体にとって重要な役割を果たすといわれています。一方、最近になって、足に何らかのトラブルを抱えている人が増加しているとも言われています。
糖尿病など生活習慣病に罹患する患者も増加することで、足のケアに対する重要性が医療現場でも認識されています。
フットケア指導士は文字通り、足へのケアを行うことでそれぞれの患者の抱える問題を分析し、適切な生活指導を行うための資格です。巻き爪やむくみから糖尿病による壊疽対策など幅広い足に関するトラブルの対策に当たります。
フットケア指導士の資格を取得している人は2015年5月時点で653名います。まだ資格が設定されてから時間が経過していませんが、試験を重ねるごとに受験者数・合格者数ともに増加しています。
フットケア指導士の合格率を見てみると、50~60%台で推移しています。それほど難易度も高くないため、試験対策をしてキャリアアップのために資格取得にチャレンジしてみませんか?
フットケア指導士の資格取得方法・条件
フットケア指導士は日本フットケア学会という一般社団法人が認定しています。フットケアをチーム医療の中に取り入れ、患者のQOLの向上を目指すために設立されました。
受験資格
まず、以下の国家資格を取得していることが前提条件となります。
・医師
・看護師
・准看護師
・理学療法士
・臨床検査技師
・臨床工学技士
・介護福祉士
・義肢装具士
・薬剤師
・作業療法士
基本的に医療や福祉における国家資格取得者が対象です。資格を取得したのち、3年以上の実務経験が必要になります。
その上でさらに以下の3つの条件をクリアすると受験資格が与えられます。セミナーは毎年6月ごろ、年1回開催されます。
・日本フットケア学会の会員になる
・フットケアの実務経験を積む
・日本フットケア学会が認定するフットケア指導士認定セミナーを受講する
試験内容
試験時間は90分与えられます。4肢択一方式の問題が50問出題されます。
日本フットケア学会では2冊のセミナー指定テキストを作成しています。その中に記載されているフットケアの基礎知識や下肢に関係した検査、ケアなどに関して問題が出されます。
試験に合格しても、5年に1回の割合で更新をしないと資格失効します。学会セミナーなどに参加して、70単位以上の履修が求められます。
医療の現場におけるフットケアの重要性
冒頭で紹介したように、医療現場ではフットケアの重要性がますます認識されています。生活習慣病で糖尿病に罹患する人が増えています。また足腰の筋力の低下した高齢者の増加などが必要性を高める背景として指摘されています。
私たちは立っているとき、足が全身の重みを支えています。このため、足の機能が失われると日常生活を送るにあたって深刻な障害の出てくる可能性があります。
また足にマッサージなどを施した経験のある人はお分かりでしょうが、リラクゼーション効果をもたらします。患者のストレスを癒す意味でも、フットケアは重要な役割を果たします。
患者と常日頃接することの多い看護師がフットケア指導士の資格を取得すれば、フットケアを通じて患者とより深い人間関係を築くことも十分可能なわけです。
フットケア指導士の資格に興味がある看護師さんへ
フットケア指導士の活躍できる職場として、総合病院がありますね。皮膚科や内科、形成外科、血管外科のある総合病院であれば、フットケア指導士の資格を持っていることは採用に当たって有力な武器となるでしょう。
また何度も紹介したように、糖尿病患者のケアも役割の一つです。その意味では透析室も就職先の候補になります。透析室は病院内看護師の中でも働きやすい職場といわれます。原則夜勤がないため、日勤だけで仕事をして生活リズムを整えたい患者の間で人気ですよ。
高齢者に対する足のケアを通じて、事故や病気を予防するアプローチも注目されています。そこで今後は介護現場でもフットケア指導士の資格を持った看護師がより求められる時代になるかもしれませんね。
患者により丁寧なケアをしたい看護師は、資格取得して損はないと思いますよ。