看護師のスキルアップ資格「3学会合同呼吸療法認定士」
3学会合同呼吸療法認定士とは、呼吸療法の専門的な知識と技術を持った人に与えられる資格になります。
呼吸療法は人工呼吸や酸素療法、吸入療法などいろいろな治療法があります。重要な治療法なのですが、医療業界ではこの正しい知識や技術を持ったスタッフが不足している実情があります。
これまでは看護師のそれぞれに任せられる傾向があって、ここの看護師のスキルによって、患者から見れば当たり外れがありました。3学会合同呼吸療法認定士の資格を導入することで、看護師全体が等しく一定レベルの呼吸療法の技術が得られるようにします。
資格保有者は2013年のデータで34000人強いるとされています。認定試験の合格率ですが、例年60%前後の所で推移しています。
3学会合同呼吸療法認定士の資格取得方法・条件
認定先の3学会とは?
認定先の3学会とは、特定非営利活動法人日本胸部外科学会と公益社団法人日本麻酔学会、一般社団法人日本呼吸器学会の3つです。この3学会が合同呼吸療法認定士認定委員会を立ち上げ、試験を主催しています。
受験資格
まず、「臨床工学技士」「理学療法士」「看護師」「准看護師」のいずれかの資格が必要です。
その上で看護師なら2年以上、准看護師であれば3年以上の実務経験を有している人が対象です。これらの条件を満たしているのであれば、認定講習会を受講します。
受講申し込み時点からさかのぼって5年以内に認定委員会の認める学会や講習会に出席し、12.5点以上の点数を取得すれば、受験が可能です。認定講習会を受講すると、受講した年度を含めて3年間、認定試験を受験可能となります。
看護師が3学会合同呼吸療法認定士の資格を取得するメリット
あらかじめ断っておきますが、3学会合同呼吸療法認定士の資格を取得すると給料面ではっきりと目に見える優遇をされることはないようです。資格手当が少しつく可能性が期待できますが、給料アップを見込んで資格取得するのはやめた方が良いでしょう。
ただし、呼吸療法を専門的に実施している病院やクリニックであれば、一般の看護師と比較すると少し高めに設定される可能性があります。
給料はすぐにアップしないかもしれませんが、看護師の必要なスキルの一環ではあります。職場の同僚からは高く評価され、信頼を得られますから、重要な仕事を任されるケースも出てくるはずです。仕事にやりがいを持てるのではありませんか?
患者の呼吸管理を行うことは、健康管理の中でも大事です。そして呼吸管理の中でも特に重要視されるのが、呼吸療法です。
今後は高齢化が進み、高齢者の患者もますます増えることが見込まれています。高齢者の場合、体力の低下で呼吸の力も衰えているケースも多くなります。このため3学会合同呼吸療法認定士を持った看護師の需要は高まってくるとみられています。
現在は待遇面ではあまり評価されていないかもしれませんが、今後は見方も変わってくる可能性があります。1つの病院に少なくても1人、大規模病院にもなれば複数の3学会合同呼吸療法認定士の資格を持った看護師が求められるでしょう。
3学会合同呼吸療法認定士の資格に興味がある看護師さんへ
3学会合同呼吸療法認定士の資格の生かせる職場は、意外とたくさんありますよ。
まず何といっても呼吸療法を専門とした病院やクリニックが挙げられますね。特に私立病院のリハビリテーション科で、この資格を持った人の募集が頻繁に出ているみたいです。
その他にも高齢者への対応が求められる介護施設や学校、企業などでも3学会合同呼吸療法認定士の資格を生かせます。呼吸は私たち人間が生きていくために欠かせない作業ですから、誰でも必要とされる療法といえますね。
呼吸療法は、病院内でセオリー通りの対応が基本というところが多いみたいです。このため、患者個々の状況を鑑みて行われていない所がありました。中には看護師に判断を丸投げしている医療施設もあるみたいですね。
3学会合同呼吸療法認定士の資格を取得すれば、呼吸療法をより身近に感じられると思いますよ。
資格を維持するためには、研修会や学会への参加が義務付けられています。資格取得後も呼吸療法の勉強をせざるを得ませんから、エキスパートとしてさらに技術を磨けますね。