失敗が重なったときに思い起こしたい・見直したいポイント
新人看護師にとって初めて教えてもらう業務や教えてもらってから初めて実践する業務では、失敗やミスはつきものです。また、仕事に慣れてきた頃の気の緩みによるミスもあります。
一度失敗したら、「もうしない」と気を引き締めるのですが、その失敗しないと言う自分自身に科せたプレッシャーが、失敗を生むことがあります。
失敗というものは繰り返されるもので、何度反省しても、振り返りをしても、その不のスパイラスに陥ると、どうしようもない場合があります。
ここで大切なことは、投げ出さない事です。
一回、一回丁寧に振り返り、再度同じ失敗を繰り返さないように見直しを行うべきです。そうした繰り返しで、リスク管理や危険回避の視点を身につけることが出来ます。
落ち込んでいる場合ではありません。もう一度、原点に立ち返り、「失敗」「ミス」の不のスパイラルから脱却しましょう。
失敗してしまった原因の追及
失敗の原因は、技術や知識不足、確認不足、精神的な焦りやストレス、プレッシャー、体調不良、ミスをした時の再学習不足などが挙げられます。その原因が分からなければ、同じ失敗は繰り返されます。
原因を追及して、同じ失敗は二度としないと誓いましょう。
技術面
経験の浅い新人看護師は指導されてもなかなか技術面においては板に付かず、失敗をすることがあります。その技術に関して、マニュアルだけを見た、説明を受けただけでは机上の空論です。
教わったことは実践しなければ自分のものとすることができません。しかし、患者さんを実験台や練習台はできません。先輩や同期と共に、練習を繰り返しシュミレーションをすることで回数をこなしましょう。
精神面
仕事の疲れやストレスで、精神的に安定していない新人看護師がいるでしょう。また、業務のプレッシャーや、日々の仕事の重圧により精神的にひっ迫している時は、正常な判断に欠け、集中力や注意力は低下します。このような時に人は失敗をします。
精神的に正常ではない場合は、周囲の先輩やスタッフにフォローをお願いしましょう。人の助言や助けにより業務遂行して良いのが新人看護師の立場です。
みんな、仕事が忙しく、自ら助けをしてくれる余裕はありません。「SOS」は自分から発するようにしてミスを防ぎましょう。
体調面
これも、仕事の疲れやストレスにより健康を害していたり、免疫の低下から風邪をひきやすくなっていることがあります。体調管理は仕事上重要です。
身体が病んでいる人が、患者さんを正常に看護することはできないと考えてください。体調が悪い時、仕事をしていても自分の体調が気になったり、「しんどい」、「辛い」と思いがあれば、上手く身体も頭も動かせません。
あまりにもキツイ症状がある時は、休暇を取ることも必要ですし、病院受診も必要です。そして、現場では、先輩に助けを求めて正常に判断できるよう努めましょう。
学習面
ミスを繰り返すと言う事は、反省と振り返りが出来ていないことがあります。振り返りをしたと思っていても、その見通しが甘い為に二度目の失敗を起こします。
何故、どうして、何があったから失敗したのか、どうすれば失敗を防ぐことが出来たのか、自分の精神状態はその時どうであったか、体調は万全だったか、報告や連絡、相談は適切に行った結果起こった失敗なのかなどをじっくり考え、あらゆる方向性から未然に防ぐことはできなかったのかを考えましょう。
「失敗」をどう捉えるかが大切
失敗を繰り返すと、新人看護師は自信を失います。自信をなくし、「看護師が向いていない」とまで考えます。
大間違いな考え方です。
人間は失敗するものですし、失敗しながら学ぶこともたくさんあります。失敗して要領を学び、次への糧にしながら先輩看護師たちも今があります。
「失敗は成功のもと」という言葉を聞いたことがありませんか?
失敗をして、「また失敗した」と感じた新人看護師は、自分に厳しくなく振り返りを行えていないと考えられます。
自分に厳しく、「もう二度と同じ過ちを繰り返さない」という強い意志があれば、学習し、シュミレーションして、十分な準備のもと次の実践を試みます。
失敗したら、次に同じことを繰り返さないように注意すればいいのです。失敗したからダメな看護師なのではありません。
失敗したから、次に失敗しない努力が出来たし、次に失敗しない方法を学ぶことが出来ました。
失敗を「悪」と捉えず、前向きに成長に結びつけましょう。
実践を繰り返したら必ず出来るようになります。失敗を恐れずに率先して経験する事が、失敗をしなくなる為の方法です。
そして、最もいけないことが「隠ぺい」です。
したことを隠してしまうと、ばれた時の信用の失墜は多大なるものです。もう誰も味方してくれません。
きちんと報告して対処できた新人看護師であれば、もう一度失敗しないように指導を貰えます。しかし、隠してしまうような新人看護師には、何も教えてくれなくなるでしょう。
失敗しても、きちんと報告して反省して、次へ活かしましょう。
ミスをしたあとの気持ちの切り替え
やはり、失敗すると落ち込みます。叱られて、反省してもなかなか元の精神状態には戻りません。
しかし、明日は来ます。患者さんは、看護師を待っています。
どんなに下手な新人看護師でも、どんなに偉い看護師でも、患者さんは心のこもった看護をしてくれる看護師を待っています。
いつまでも気持ちを低空飛行させては、成長はありません。
そして、待ってくれていた患者さんも「あの新人さん、暗いから来てほしくない」と持ってもくれなくなります。
悲しいことですよね。
患者さんは、新人看護師さんの頑張りを一番理解してくれています。失敗しても、まだ研修中だからと多めに見てくれています。
それは、新人看護師のバイタリティや元気良さ、明るさに患者さんが勇気づけられているからです。
その新人看護師に元気が無くなり、活気が無くなると、ただの失敗ばかり繰り返す自分にとっての「害」でしかなくなります。新人看護師で、若くて人気があったのも、一昔前の話になってしまいます。
患者さんに失敗して迷惑をかけてしまうのであれば、元気良さや癒し、丁寧な対応などでカバーするようにしてみませんか?
気持ちを切り替えて、もう二度と同じ失敗をしないと気持ちを立て直してもう一度チャレンジしてみてください。