新人看護師の離職率統計データ
日本看護協会による離職率統計データから解ること
看護師の離職率は若干ではあるものの、年々減少してきています。2009年度は離職率が11.2%だったのに対して、2010年度は丁度11%、2011年度は10.9%になっています。ほんの僅かずつですが、看護師の離職率が減少しているのはよい傾向であるものの、高齢化社会になっていくにつれ、どんどん看護師は不足傾向になっています。
看護師の離職率がほんの少し下がり、看護師の総数自体も緩やかに上昇しているのですが、高齢者を中心として病院やクリニックなどの医療施設、老人ホームや介護施設などの利用者が急増しているので、全く追いついていないというのが現状です。しかも看護師の中には潜在看護師と言って、看護師の資格を持っているのに看護師の仕事をしていない人もたくさん存在しています。
離職率は若干下がってきてはいるものの、10%を超えているということは、10人に1人の割合で離職しているということを意味しているため、決してよい傾向にあるとは言えません。しかも辞めていく人の多くは新人看護師になっているのです。しかも2012年度では、看護師全体の離職率が10.9%と前年に比べて変わっていないのに対して、新人看護師は7.5%も辞めているのです。
ようするに離職してしまう人の4人に3人は新人看護師となっているのです。この傾向は現在でも改善されておらず、辞めていく人の多くは新人看護師となっているので、今後は新人看護師が辞めないような対策を講じていく必要があるでしょう。そうしないと離職率を下げることはできないと言っても過言ではありません。
看護師全体の離職率との比較
2012年の離職率データを見てみると、看護師全体の離職率は10.9%になっているのに対して、新人看護師は7.5%になっているということは、一般の看護師に比べて約3倍の離職率ということになります。これだけ比較して見ると新人看護師の離職率が非常に多いことがわかるのですが、なぜこれだけ新人看護師の離職率が多いのでしょうか。
その理由はやはり厳しい研修に耐えられない、研修には耐えても患者からの苦情や上司、医師などから叱責されるとすぐに辞めてしまうということが挙げられます。最近は晩婚になっているので、新人看護師のうちに結婚や出産で辞めてしまうという人は昔に比べて大分少なくなっています。
看護師以外の職種との比較
看護師以外の職種はどのようになっているのかというと、最も離職率が高くなっているのは教育学習支援に関する仕事になっていて、48.8%という高い数字になっています。次が宿泊や飲食関連の仕事で48.5%、3番目がサービス業や娯楽業で45%という数値になっています。これだけ見ると看護師の離職率はそれほど高くないように見えるのですが、やはり現在の社会では新人にとって厳しく辛い職場が多いということを意味しているのです。
今後、新人看護師の離職率はどうなっていくのか
看護師の離職率は今後どのようになってくるのかというと、おそらく現状維持という感じではないでしょうか。今後は高齢者がさらに増えてしまい、若い人が減少してしまう傾向にあるのですが、まずは日本人が安心して子供を生める、安心して子育てができる環境を作らないと少子化の改善はできません。少子化の改善ができなければ看護師の仕事も楽にはならないでしょう。
病院やクリニック、老人ホームなどがいくら改善を行っても限界がありますし、看護師の仕事は命にかかわる重要な仕事なので、研修をもっと楽にするというわけにはいきません。給料の支払いにも民間では限界があります。よって政府が本格的に医療関連の改善や日本人を第一に考えた政策を行わない限り、看護師の離職率が低くなることは難しいと言えるでしょう。
もちろん教育面でもそうなのですが、外人は奨学金の返還義務がなく、日本人は全額返済の義務があるなど、看護師になるために通う学校の制度にも問題があります。職場を含めて看護師に関連している学校や普段の生活に至るまで改善しないと、新人看護師の離職率は止まらないでしょう。もちろん民間で働く一般職の新人でも同じことが言えます。