看護師のスキルアップ資格「老人看護専門看護師」
高齢化が進んでいる現状を見ると、高齢者看護もますます重要度を増しています。専門看護師の分野の中の一つに老人看護のものもあります。
老人看護専門看護師は、高齢者の入所・利用している施設で質の高い看護活動のできる人をさします。
高齢者になると、いろいろな健康問題を抱えている人も多いです。足腰が不自由などで介護が必要な人もいれば、認知症を患っている人も見られます。
このようないろいろな問題を抱えている高齢者それぞれに合った看護サービスを提供し、QOLを向上させることが役割になります。
老人看護専門看護師になると患者だけでなく、その家族に対するケアにも配慮売る必要があります。特に自宅療養している人の場合、家族が普段介護しているケースが多いです。
家族にかかる負担は大きいですから、普段の介護に関する悩みの相談に乗るとか、より良い介護をするために家族へアドバイスするなどの役割も担います。
老人看護専門看護師の資格保有者ですが、2015年時点で79名います。病院の他にも、特別養護老人ホームや訪問看護ステーションなどで活躍している人も見られます。
老人看護専門看護師の認定審査を見てみると、合格率は90%くらいで推移しています。しかし難易度が低いわけではありません。
老人看護の実務経験を持った人を対象に審査を実施しているため、高い合格率であるといえます。受験資格を満たすだけでもいくつか条件がありますので、決してハードルが低いわけではないと思いましょう。
老人看護専門看護師の資格取得方法・条件
老人看護専門看護師の認定審査を行っているのは、日本看護協会です。
受験資格を得るには
老人看護専門看護師の認定試験を受けるためには、日本の看護免許を取得し、看護の実務経験が通算で5年以上、そのうち3年以上は高齢者の利用する施設で老人看護の実務経験を有している必要があります。
その他には、看護系大学大学院修士課程や関連領域の大学修士課程で必要な科目単位を履修していないといけません。大学院を出ていない人は、いったん入学して所定のカリキュラムを修了する必要があります。
試験の概要
老人看護専門看護師の認定試験は、書類審査と筆記試験の2段階で考査されます。書類審査として、実務研修に関する実績報告書が必要です。報告書は、いくつかの書類が求められます。その内訳は以下のようになります。
・看護実践:2例
・ケア提供者に対するコンサルテーション:1例
・保健医療福祉関係者とケアをスムーズに行うためのコーディネーション:1例
・看護師や介護士に関する教育活動:1例
加えて、大学院修士課程で取り組んだ論文などの研究報告書類も提出する必要があります。その上で老人看護に関する専門知識をとる筆記試験に合格すれば、晴れて老人看護専門看護師の資格を取得できます。
高齢者の中で増す看護師の需要
日本はますます高齢化が進むとみられています。数十年後には、日本人の総人口に占める65歳以上の高齢者の占める割合が40%近くに達するとみられています。そうなると老人看護への需要は今後ますます増えると考えられます。
老人看護専門看護師を持っていれば、老人看護のスペシャリストとして他のスタッフにも教育や指導ができ、司令塔的な役割を担うことも可能です。ですからよりよい待遇で仕事のできる可能性も高いでしょう。
病院などの医療機関はもちろんのこと、訪問看護ステーションや介護施設などでも活躍することは可能です。日本全国に看護の必要な高齢者もいますから、家族の転勤で引越しをしても、職は見つけやすいでしょう。
老人看護専門看護師の資格に興味がある看護師さんへ
老人看護専門看護師の活躍している職場は、総合病院やリハビリ施設のある医療機関、訪問看護ステーションで活躍している人が多いですね。その他には老人介護施設やグループホームなどでも求人がしばしば出ていますね。
認知症の高齢者の場合、ケアが難しいといわれています。認知症の方の入所している施設だと、老人看護のスペシャリストである老人看護専門看護師の資格を持った人がいると安心だと思いますよ。