看護師のスキルアップ資格「皮膚・排泄ケア認定看護師」
皮膚・排泄ケア認定看護師は、2007年までは創傷・ストーマ・失禁看護という分野で呼ばれていました。WOC認定看護師といった呼称の使われることもあります。
褥瘡やストーマ、失禁といった排泄に関する管理に関して専門的な知識やスキルを持った看護師に対して認定される、ナースの上級資格になります。
褥瘡の創傷管理などは皮膚のケアの中でもかなり重要度の高い業務になります。さらに排泄はどんな人でも生きていくうえで欠かせないものです。ところが寝たきりになってしまうと、自力でもはや排尿することも難しくなるケースも出てきます。このような人たちのサポートをしていくのも、皮膚・排泄ケア認定看護師の重要な任務になります。
ただ単に仕事ができればいいわけではなく、特に排泄のサポートは人間の尊厳にかかわるデリケートな問題です。そのようなことを理解して、患者の尊厳を傷つけることのないように業務にあたることも求められます。
皮膚・排泄ケア認定看護師の資格保有者の数ですが、2015年の時点で日本全国に2166名います。病院やクリニックなどの医療機関で勤務している人が多いです。
試験の難易度ですが、90%程度の合格率になっています。しかし受験資格を得るためのハードルが厳しいので、決して簡単に取得できる資格ではないと思いましょう。
皮膚・排泄ケア認定看護師の資格取得方法・条件
日本看護協会がの認定審査を実施しています。専門看護師の他にも認定看護師など、特定の分野で秀でた能力を持った看護師の認定を実施しています。
受験資格を得るまで
皮膚・排泄ケア認定看護師の受験資格を得るためには、専門分野における実務経験を一定年数以上経験していないといけません。
まず看護師として通算5年以上の実務経験を有していること、そしてそのうちの3年以上は皮膚・排泄ケア分野における実務経験でないといけません。
この条件をクリアした人は、認定看護師教育機関が日本全国にあります。こちらで、皮膚・排泄ケアに関する教育課程を受講する必要があります。615時間のカリキュラムで、全部終了するまで半年程度かかると思いましょう。この間、仕事を続けることはできませんから事前に休職などの相談をしておくべきです。
この2つの条件をクリアすることができれば、受験資格が与えられます。認定審査は筆記試験で行われ、一定点数以上を獲得できれば、皮膚・排泄ケア認定看護師になれます。
皮膚・排泄ケア認定看護師は一度資格取得すれば、ずっと無条件でその資格を生かせるわけではありません。5年に1度の更新手続きがあり、この時書類審査も実施されます。
高齢化の中で皮膚・排泄ケア認定看護師の需要が増している
ご存知のように日本では現在、高齢化がどんどん進んでいて、今まで以上の日本人に占める高齢者の割合は増えるとみられています。
高齢者の中には体の不自由な方もいて、排せつが思うようにできないとか、寝たきりで褥瘡などのリスクの高い人もいます。このような人をケアする専門家である皮膚・排泄ケア認定看護師の存在感は、日増しにアップしていると言って良いでしょう。
現在のところ、医療機関で活躍している看護師が多いです。しかし高齢者施設も日本全国に建設されている現在、福祉分野でも皮膚・排泄ケア認定看護師のニーズは高まってくると予想されています。
皮膚・排泄ケア認定看護師の資格に興味がある看護師さんへ
寝たきりの患者など長期入院している患者のケアが中心なので、病棟のある病院で勤務している人が多いです。その他には皮膚のケアに関する専門的知識を生かして、手術後の患者のケアを担当している人も見られます。
排泄が自分でできない人の場合、普段ケアをするのは家族というケースも多いと思います。特にこれからは自宅療養をする人も増えてくるでしょうから、家族の介護の負担も増す可能性があります。
適切な排泄ケアができるように家族にアドバイスをすることも増えてくるかもしれません。さらに介護に関する家族の悩みの相談にも乗ってあげられますから、大きな存在になってくると思いますよ。