看護師のスキルアップ資格「在宅看護専門看護師」
専門看護師という上級資格は、11の分野にわたって認定を行っています。その中の一つに、在宅看護専門看護師があります。文字通り自宅療養している患者の看護活動をするための専門的な知識やスキルを持っていることを認定するための資格です。
高齢化が進み、これからは病院での入院期間を短くし、慢性的な患者は自宅療養が進められるとみられています。在宅で療養している患者やその看護をしている家族のサポートをする役割を担う人材として、重視されています。
在宅看護専門看護師の資格保有者は2015年9月時点で22名います。病院で勤務している人もいますが、訪問看護ステーションや介護施設などで勤務している人が中心です。またクリニックで患者の自宅を定期的に巡回している所で活躍している看護師の方も見られます。
在宅看護専門看護師の認定審査ですが、90~95%といったところで例年推移しています。一見すると簡単に取得できるような印象があるかもしれません。しかし実務研修の実績の内容など幅広く審査対象になりますから、決して簡単に取得できる資格ではありません。
在宅看護専門看護師の資格取得方法・条件
日本看護協会が認定をしています。
認定審査を受けるためには、以下の3つの条件をクリアしていないといけません。
・日本の看護師免許を取得していること
・日本看護系大学協議会専門看護師教育課程基準を満たす科目単位を取得していること
・実務研修を通算5年以上、そのうち3年以上は在宅看護分野の実務研修を受けていること
2つ目の条件を満たすためには、大学院に進学して所定の単位を取得する必要があります。
試験概要
在宅看護専門看護師の認定審査は、年に1回実施されています。書類審査と筆記試験の2種類によって考査が行われます。筆記試験は在宅看護に関する専門性の高い問題が出題されます。
在宅看護専門看護師の資格を取得しても、ずっとその資格を生かせるわけではありません。5年に1度の割合で更新をしないといけません。更新時には書類審査が実施され、一定レベル以上を維持しないといけません。
自宅療養の将来性
今後はますます自宅療養をする患者が増加するとみられています。高齢化が進み、病院の入院病棟もベッドが飽和状態になっているといわれています。一方で訪問看護ステーションをはじめとして、在宅療養のためのサービスも充実しつつあります。
また「最後のときは病室のベッドではなく、住み慣れた自宅で過ごしたい」と希望する人も多いです。その意味では、在宅看護専門看護師の需要は今後も高まってくるだろうと予想されています。
訪問ステーションを専業で行っている事業所の他にも、病院が併設するケースも増えています。さらに一般企業が訪問看護ステーションを運営するケースも出てきていて、職場の選択肢も増えています。在宅看護専門看護師は数十人程度しかおらず、その意味では売り手市場と言って良いでしょう。
在宅看護専門看護師の資格に興味がある看護師さんへ
在宅看護専門看護師の資格を持っている人の職場を見てみると、訪問看護ステーションが大半みたいですね。訪問看護ステーションは、多種多様な所が運営しています。
たとえば地域の中核病院が訪問看護のサービスに本腰を入れている所も増えてきています。これからは就職先の選択肢も増えていますから、よりよい待遇の転職先が見つかるかもしれませんよ。
在宅看護専門看護師に求められる能力は、リハビリに関する知識やスキルになります。少しでも自立した生活を送るための支援や病状がこれ以上悪化しないようにするためにどうすればいいか考える必要があります。
自宅療養している患者はそれぞれ病名も療養方法も変わってきます。それぞれの患者にあった、オーダーメイドのサービスをフレキシブルに対応できた方が良いですね。そのためにはアセスメントを行う能力が必要です。
さらに普段看護をしているのは家族であることも多いです。より適した看護をするために家族にアドバイスしたり、家族の普段の悩みの相談に乗ったりすることも必要です。