看護師のスキルアップ資格「不妊症看護認定看護師」
結婚してなかなか子宝に恵まれない人は、深刻な悩みを抱えるケースも少なくありません。しかし最近では医学も進歩して、このようなカップルに対する不妊治療を行っている医療機関も増えています。
このような不妊治療を行っている医療機関では、不妊症のエキスパートである不妊症看護認定看護師がいると大変心強いはずです。
不妊症看護認定看護師はほかの認定看護師よりも、守備範囲は広くなります。言ってしまえば、不妊症治療のすべての工程に関わるといっても過言ではありません。
アセスメント、看護ケアプランの策定、その後の計画に関する評価、カップルに対するコンサルタント業務などいろいろなことに携わります。実際の治療は医者がもちろん担当しますが、病院によっては検査担当を任されるケースも見られます。
不妊症看護認定看護師の資格を持っている人は、2015年時点で150名です。総合病院で仕事をしている人もいれば、レディースクリニックのような女性専門外来で勤務しているナースも少なくありません。
不妊症看護認定看護師の受験資格を得るためには、一定の専門教育を受ける必要があります。この受験資格のハードルをクリアするのは大変です。しかし受験資格さえ取得できれば、資格は比較的簡単に手に入ります。合格率を見ても例年、90%前後という高い数値で推移しています。
不妊症看護認定看護師の資格取得方法・条件
不妊症看護認定看護師の認定を行っているのは、日本看護協会です。ホームページを見ると、不妊症看護認定看護師資格保有者の一覧が掲載されています。
資格取得までの道のり
不妊症看護認定看護師の受験資格を得るためには、実務経験が必要です。不妊症に悩む患者のいる病棟や外来での勤務が、通算で3年以上ないといけません。実際の不妊症患者の看護も5例以上の実績が求められます。
この上で、看護協会の認定する不妊症看護認定看護師の教育課程を受講する必要があります。大学院などで、6か月間のカリキュラムを修了する必要があります。現在仕事をしている人は学業の両立にあたって、勤務先と相談をしておきましょう。
そしてこの教育課程を修了すれば、受験資格が得られます。試験を受けて合格すれば認定証が発行され、晴れて不妊症看護認定看護師として活躍できます。
少子化の現代において注目の資格
社会に出て働く女性が増えていること、不況でなかなか給料の上がらないことを背景にして、晩婚化が進み、少子化の傾向が顕著です。
しかしそのような中でも、子どもを求めるカップルもたくさんいます。妊娠できればいいのですが、いくら自分たちで頑張っても子宝に恵まれないケースは、決して少なくありません。
このようなカップルの心の支えとなるのが、専門知識やスキルを持った不妊症看護認定看護師です。少子化の問題に関しては国も対策に力を入れていて、少しでも多くの子供が生まれるような子育てのしやすい環境の整備が急がれます。
そうした中で、不妊症治療のニーズも今後高まってくるでしょうし、不妊症看護認定看護師の需要も増えることはあっても減ることは当面ないとみられています。
不妊症看護認定看護師の資格に興味がある看護師さんへ
不妊症看護認定看護師の活躍できる職場は、やはり不妊症治療を行っている医療機関となります。総合病院が多いですが、中には不妊症を専門的に取り扱っているクリニックなども出てきています。
不妊症治療を受けるカップルは、これまで様々な精神的な葛藤を抱いていたでしょう。また不妊症治療は着実に結果の出る保証もなく、「これで大丈夫だろうか?」という不安も抱えているケースが多いです。
そのような精神的に不安定なカップルのケアをするわけですから、彼らの気持ちに共感でき、意思を尊重できるようなナースが望ましいですね。
またトリアージ技術も必要な世界ですよ。つまり治療や処置に関する優先順位を判断して、どのようなケアを個別のカップルに提供するのがベストなのか、その判断力も必要になります。
大変な仕事の反面、担当したカップルに子供が生まれるとこの上ない喜びを感じられると思いますよ。