看護師のスキルアップ資格「衛生管理者」
会社にはいくつか法律上のルールがあって、一定規模以上の職場を運営するためには、専門の職員を配置する決まりになっています。
どのような企業でも、最低1名の衛生管理者を配置するルールもその中の一つです。衛生管理者は労働安全衛生法の下で作られた国家資格になります。
職場やその安全環境を維持する、そこで働く従業員の健康を維持するための役割があります。健康的で安全性の高い職場作りを進めるために、リーダーシップ的な役割を担うことになります。またボトムアップの重要な役割もあって、従業員の職場に対する不満を経営側に伝達して、職場環境を改善するのも衛生管理者の職務です。
衛生管理者の資格保有者数ですが、2015年時点で50万人程度いるといわれています。衛生管理者には第一種と第二種があります。
合格率を見てみると例年、第一種が50%程度、第二種が60~70%程度で推移しています。ただし初回受験者の合格率で見て見ると、第一種が30%、第二種でも50%程度といわれていて、一発合格するのは決して簡単な道のりではないことがわかります。
衛生管理者の資格取得方法・条件
先ほども紹介したように、衛生管理者は国家資格の一つになります。よって資格を認定するのは厚生労働省になります。
受験資格を得るには?
衛生管理者の場合、受験資格を得るコースとして、以下の3つのコースのうちのいずれかを選択する人が多いです。
・大学もしくは高専を卒業後、労働衛生分野における1年以上の実務経験
・高校もしくは中学卒業後、3年以上の労働衛生関連の実務経験
・学歴不問で10年以上の労働衛生関係の実務経験
このうちのいずれかをクリアして、受験資格を得ます。
看護師の場合もう一つ方法があって、まず保健師資格を取得する方法があります。保健師資格の他にも薬剤師資格を持っている人は、無試験で自動的に免許取得できます。看護師は保健師の受験資格が得られますから、こちらのコースを進むのもおすすめです。
試験の概要
労働衛生と労働管理、関係法令に関する問題が出題されます。問題は3時間で解く決まりになっています。
企業看護師を目指すのに有利
看護師の間で、企業看護師を志望する人が増えています。
病棟看護師の場合、どうしても時間が不規則になりますが、企業で勤務すれば基本的に夜勤はありませんし、カレンダー通りのスケジュールで仕事ができます。規則正しく仕事ができ、しかも給料もそれなりにもらえる可能性が高いため、人気です。
ただし企業看護師の案件は、病院やクリニックの求人と比較するとどうしても数は少ないです。このため、求人倍率がどうしても高くなります。多くのライバルに勝って、企業看護師の職を得るためには武器となる資格が必要です。衛生管理者は国家資格ですから、かなり社会的な評価は高いです。
衛生管理者は先ほども紹介したように、どの会社でも最低1名は必要な人材です。ほぼすべての職場が応募対象になり、より広い選択肢の中から理想の職場が選べます。
多くの職場で衛生管理者を持っている人は、基本給に資格手当を上乗せしているようです。だいたい月々3000円くらいの上乗せ効果が期待できます。
衛生管理者の資格に興味がある看護師さんへ
一般企業などほぼすべての職種で取り扱っている資格ですね。でももしよりよい待遇の中で仕事をしたいと思っているのであれば、工業的職種の案件にターゲットを絞ることですよ。
特にその中でも狙い目は、建設業界です。建設業界は有害業務を含み、職場環境もリスキーなため、けがなどと背中合わせの傾向が見られます。
このような会社では衛生管理者の資格を持っている人をより求める傾向がありますね。年収などを見ても、500~700万円くらいが相場でほかの職種よりも高めの給料設定になっているみたいですよ。
突発的な事故、しかも従業員が大けがをするような事例が起きるかもしれず、仕事へのプレッシャーは大きいかもしれません。でもきちんとその対価はもらえるでしょうし、ある意味やりがいのある職場とも言えますね。